第4話 お前、次郎じゃないな?

「おいおい、元友達の顔を忘れたのか? それともこれが被り物だとでも?」


 ……いや、もういい。本当にもいい、分かった。


「そうか……お前……完全にネイティブ側の人間なんだな?」


「……どうかな……」


「俺がどんな策をねったか、その策を聞き出そうとした。その上で、俺を止めようとしていたわけだ……。


 俺を……ネイティブに歯向かわせないために、俺を監視するために、お前は……俺と仲を……保とうとしたってわけか、あんな強引な方法を取って……」


「……で、エンゲームは……受けるのか?」


 次郎はこっちの言い分を無視して淡々と話を進めてくる。


「受ける訳無いだろ? お前が敵とわかった以上、お前と話すことはない」


「もし、お前が俺に勝てば……俺はお前のコマになってやる。好きなように使うといい。それに……俺の考えていることを……教えてやる。


 いや、もはや、現状において、できる限り、お前が提案する契約に乗ってやってもいい」


 踵を返すように背中を次郎に向けたつもりだった。


 だが、その提案に思わず気を持って行かれた。それは、向こうから完全な不平等条件を突きつけてくるに等しいもの。フェアとは程遠い条件。


「……どうせ、その分、そっちも要求するんだろ?」


「いや、しない。俺は、ただお前を止めるだけだ」


 ……圭はここになって冷静に思考をし始めた。このゲームを……受けるメリットがあるのかどうか……、この提案が、今の圭にとって必要なものかどうか……。


「コントラクトのルールを一通り確認してここにいる。

 ルール上、相手の行動を完全に縛る行為は、契約しても効果は得られない。お前がどう契約しても、俺を完全に止めることはできないと思うぞ?」


「いったはずだ、俺はお前を止めると。ああそうだ、お前がネイティブに抗おうとする限り、なんどでも俺はお前の前で立ちふさがる」


「なら……俺は……その度に、お前に勝てと? いや、さっさとお前を倒して、ネイティブも倒す必要があると? ネイティブを倒したければ、まず俺を倒して行けってか?」


「そういうことだ」


 次郎は右こぶしを左手に当て、言うように立ちふさがる。


 別にここで、次郎とエンゲームをしなければ絶対にこの先へ進めないというわけではないだろう。

 次郎を騙すなりなんなりして、出し抜いた上でネイティブを倒しに行くのもそう難しいことではないと思う。


 だが、……このままだと、こいつがそれなりの不安要素になるのには違いない……、ネイティブを戦う上に置いて、不安要素はできる限り排除して挑みたいのも。


 なにより、こいつの考えていること、理解することには、これからにおいて、意義がある……はず。


 別に負けたところで、完全にネイティブへの反抗期会が失われるとは到底思えない……。勝てれば……何かわかるか……こいつとゲームをするだけでも……。


「わかった……次郎、そのエンゲーム、受けて立つ」

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