第四話 おっぱいで免許を釣る

 日付は変わって土曜日になっていた。胸が締め付けられるような切ない思いを抱き、眠れぬ夜を過ごすこの男の名は田中義一郎たなかぎいちろうという。義一郎は悩んでいた。恋の成就と言えば聞こえはいいが、相手がJKであればそんな綺麗事では済まされない。自分が受け持つクラスの女子生徒に恋心を抱くなどあってはならない事なのだ。しかし、義一郎の意識はその女子生徒の事ばかりに集中してしまう。いつもふわふわと夢見るような表情で、その視線はどこか遠くを見つめている。そして、時々漏らすその過激なセリフが胸に刺さる。今日の放課後もグサリと鋭く言われたのだ。


「バラバラにしてやる。内臓をぶちまけろ」


 こんな過激な言葉に胸が震えるなんて思ってもみなかった。もっと言ってほしい。もっと蔑んでほしい。そんな欲求が胸の奥から湧き上がってくる。告白したらどんな返事が返ってくるのだろうか。その時、心臓が握りつぶされるのか、それとも眼球がえぐり出されるのか。あまりの陶酔感の為、義一郎の意識は遠くなっていく。その時、スマホに新着通知が届いた。自分が参加しているSNS、自分のクラス専用のSNSからの通知だった。それをタッチしメッセージが表示される。それは何と、自分が意識している女子生徒からのメッセージだった。


「私の胸を堪能したい人、集まってください。本日(土曜日)午後8時にミミ先生の自宅前集合です。条件はマッハを扱えること。ブラを付けずに待ってます。ただし、お触りは禁止。———黒田星子くろだせいこ


 この一文を読んだとき目の前に火花がはじけたのを感じた。クラス一、いや、学園一と言われている豊乳を堪能できるのか。しかし、JKのおっぱいに心を奪われるなんて情けないと思う。だが、義一郎は疑いもせずこのメッセージに乗ることにした。マッハとは古いKawasakiのオートバイのことだろう。幸い大型二輪免許は持っている。星子とタンデムするなら自分の背には星子の胸が押し付けられる。そう、あの豊乳を堪能できるのだ。


 そのメッセージに興奮してしまった義一郎は、その夜は一睡もできなかったという。

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