第2話 出逢い

男女の出逢いのきっかけを調べてみると

「職場」「習い事」「飲み会・婚活パーティ」等が上位に挙がる。

社会人になると出逢いのきっかけすら失う事が多いらしい。


僕はおしゃれなバーに行くことも無ければ、婚活ほどギラギラしてもいなかったし(今でもそうだが)、ましてや職場恋愛など考えもしていなかったので、「ひょっとして、このまま独りで老いていくのか。。。まぁそれも良いけど」などと半ば恋愛というものを諦めつつあった。


思えば周りの目ばかり気にして生きてきた。誰かに恋い焦がれても「どうせ俺なんて」と最初から諦めモード。家庭環境はといえば小学校のテストで100点取っても「大したことない」って言ったり、かと思えば中学に上がったら「〇〇君はまた上位だったらしいじゃない」とか。ほら、そんなだから僕がいじめられてても気が付かない。そんな親に認められたくて入った大学も「このまま意味のないことを続けるならいっそ辞めてしまいたい。」と親に散々怒鳴り散らされながらも退学。本当に何もなかった。正直、そんな自分にこの先何があるのか、何も残せないままは嫌だけど、たぶんそうなるだろうな。


そんな僕が彼女と出逢ったのは、とあるライブハウスだった。

当時バンド活動をしながらもアイドルヲタクだった僕は、友人に誘われるがままにとあるアイドルの初めてのワンマンライブへと足を運んだ。


奇抜な恰好の女性がフロアの男性陣と話している。ああ、女の子にも人気なんだな、なんて思ってたら「あ、あの子ですよ」なるほど想定の範囲外。世界は広いのか狭いのか。変な子だな。これが第一印象。


もしかしたらあの瞬間から、出逢いの瞬間から、未来も決まっていたのかもしれない。冷静にあの頃を思い返すと顔から火が出るくらい恥ずかしい。それから僕は何かに憑りつかれたように彼女を追い始めた。まぁよくある「支えたい」っていう心情だ。こんなこと僕が考えるのは気持ち悪いし、自己満でしかなかった。それでもいい。いつしかその思いは想い、恋へと少しずつ変わっていくことになる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る