第51話 連続
その頃、砦内の激闘は清算を極めていた。烈悪魔と融合したアシュに対し、ゼノスは兵悪魔と闘悪魔の2体を取り込んだ。烈悪魔の方が強力だが、兵悪魔、闘悪魔も近いレベルにある。闇魔法使いとしてもゼノスはアシュよりも優れている。
必然的に、悪魔融合したゼノスの実力はアシュを遥かに圧倒していた。
互いに高速の拳撃を繰り出すが、ほとんどアシュに被弾する。
「ぜぇ……ぜぇ……クク……」
しかし。
拳の弾幕を浴びながら。
全身満身創痍ながら。
白髪の魔法使いは笑みを零す。
そして。
「はぁ……はぁ……ぐううっ」
スピードも。
拳撃の威力も。
全てにおいて圧倒しているはずの黒髪の魔法使いが呻く。
悪魔召喚は自身の身体の負担が大きい。二体の融合はゼノスにとって未知の世界。いくら半永久的な不老を得ているとは言え、動作のたびに激しい嘔吐と痛みが襲いかかる。
一方。
化け物と呼ばれるほどの
長期戦の天秤はアシュに傾いていた。
ならば、短期でその再生を超える破壊を与えるしかない。
ゼノスは超高速でアシュの前に移動し、その拳で
「ぐああああああああっ」
焼けただれる身体を抑えながら。
アシュは追撃を浴びないように、再び距離を取ろうとするが、ゼノスはその分間合いを詰めて、
悪魔には詠唱によるタメが必要がない。
回復する間を与えない連続魔。ゼノスのような最高峰の魔法使いが悪魔と融合して超人的な速度を有した場合発動することのできる秘技中の秘技。
「ぐっ……」
思わずガードを固めるアシュ。
「……ぐぐぐぐぐぐぐっ」
ゼノスは勝負を決めにきている。
これを耐えれば。
これに耐えることができれば。
アシュの勝ちーー
「トドメだ」
笑みを浮かべ。
兵悪魔ウェリエルと闘悪魔オリヴィエ。彼らの闇のエネルギーと共に、ゼノスは極大魔法を放つ。
ゼノスは、この極大魔法に名を冠している。それは、幾千……いや、幾万の試行錯誤を繰り返し、闇属性の魔法を極限まで高めたものだった。
すでにボロボロのアシュの身体に。
その深淵なる闇は全てを包み込んだ。
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