おきつね銀翔とナナコ

第1話 風森町とお狐様

 日本のとある場所、海や山に囲まれた風森町かざもりちょうに古い古い歴史を持つ格式高い稲荷神社が存在している。

 風森の町民に愛され遠くからもやって来るほど参拝者は多く霊験あらたかご利益に授かれると大人気だ。

 そしてこの風森町の稲荷神社は漁師に絶大な支持を得ている。

 高台の境内からはどこまでも続く美しい海が見え祀られている神様は商売繁盛と順風満帆の航海安全を護る意味を持つ守護を掲げていた。


 神社建立からここの稲荷神社実は祀り神である神様と神様眷属お遣いのお狐様は大変に悪戯好きで有名であった。

 

 ただ長らくの時の流れで世の中は現代に移りゆきお二かたのお心も変わり成長していく。

 季節が幾年月行き過ぎ変わるにつれて神と眷属の子供はやがてゆっくりとした悠久の時を経て大人になり……。


 風森町の神様も神様の使いであるお狐様も段々ご自分達がいつのまにか年を重ねていることを感じ佇まいを直す頃合いとなった。


 悪戯ばかりはしておれないと使命感を持ち人間達の幸せと福をいっそう思うようになりました。


 苦しむ者がいれば助けたいと願い人々の為に幾らでも尽力し神力を使う。


 そうそう小さき時からご自分たちが役目というものを持っていることに実はお二かたは気づいていた。


 己に授けられた類稀なる神力それはなかなかにきっと人達の役に立つ事だろうと。


 風森の町を見渡す稲荷の宇迦之御魂神様とお狐様の顔は背負った宿命の責任にぴりりと畏まり自信と誇りに満ち溢れていた。

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