忘れられた島

天崎 瀬奈

プロローグ

急速に進化する電子社会というものはどうにも生きづらい。

毎日が目まぐるしく進化していくその社会というのはほんの少しでも目をそらしたらあっという間においていかれてしまいそうになる。

一昔前までは折りたたみ式だった携帯も今ではタブレットと呼ばれる平たい操作端末になってしまっていて、かと思えばその平たい端末でさえも大きいからとぐにゃりとたためるようになったのだとかなんとか。

排気ガスまみれのその場所はなんの解決もされないまま地球温暖化だとかなんだとか言われおり、北極の平均気温は、世界のほかの地域に比べて2倍の速さで毎年上昇しているらしい。そのせいで氷もどんどん量が減少しておりこのままでは北極に住む動物たちの生きる場所というのも無くなってしまうらしく、この異常気象というのもきっとそのせいなんだろう。

煌びやかに照りつける太陽のせいか地上の温度も日に日に上昇していてまだ初夏、梅雨も同然の時期だというのにも関わらずだんだんと気温は上昇している。

つい先日はあの寒さの代表である北海道でさえも30度を超えたんだとか。

いつか、人類や動物が生きていけなくなってしまうのではないか。

そんな考えが頭から離れなくなる。

いずれは自分もあのペンギンやシロクマのように死んでしまうのではないだろうか。いつか私たち人間も絶滅してしまうのではないだろうか。

なんて。こんなにも暑いと流石にそんなことを考えてしまう。

白と水色のセーラー服は暑さによる汗でベタベタとしていて、時折吹いて来る夏風のぞのじとっとしたなんとも言えない風にさらに汗が首筋をつたう。




どこか遠くでセミが鳴く。


眩しすぎるその太陽に目を細めた。





嗚呼今年もまた夏が来る。

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