構成についての注意点

真田五季

第1話

               構成についての注意点


 構成の基本形

1. 第一幕「関心を掴む」

関心を掴む:主人公と読者の間に絆を生み出す。


イベント:主人公の日常を、放置できないほどにかき乱してしまう出来事。主人公にとって、放置できないような問題の発生。


中心的な問い:この問題をどうやって解決するのだろう。という興味を持ってもらう。


2. 第二幕「緊迫感と期待感」主人公が勝つか負けるかを心配させる。

中間点:大きな逆転・混乱の発生。これを境に、主人公は迷いを捨てて、わき目を振らずに目標を求めていくことを決断することが多い。


深まる混乱と逆転:障害物と混乱が、より激しくなる。認知・逆転を仕掛け続けながら、読者の感情を刺激していく。


最も暗い瞬間:敵は手ごわく、勝ち目がない。主人公の決意が試される岐路。


3. 第三幕「満足」

主人公の立ち回りと成長:主人公が真逆の性質へ変化。追い込まれた結果、主人公がいい方向に、あるいは悪い方向に変化する。


最後の戦い:中心的な問いの解決される満足感。読者を感情的に満足させられるのか、という点が最重要。


幕引き:物語に対して理にかなっており、驚きに満ちた終わり方。対立を解決する方法が、読者の驚きを誘うものであるのが望ましい。


 シークエンス、幕ごとに場面の基本形を当て嵌める。






 第一幕

 1:主人公の行動が、共感可能なものであるか。

 2:イベントに首を突っ込む論理的な、あるいは感情的な必然性があるかどうか。

 3:中心的な問いは、普段味わえない経験をもたらすか。

 4:イベントに参加した結果、主人公の日常は後戻りできないほどかき乱されるか。二度とそれまでの日常には戻れないか。

 5:幕の最後に、大きな認知・逆転・混乱が発生しているか。


 第二幕

 1:中間点までに、主人公の逃げ道を徹底的にふさぐことができているかどうか。

 2:混乱を作り出すことができているか。それを180°に近付けることができているか。

 3:認知・逆転の数を場面ごとに増やせているか。

 4:主人公の劣位が露になり、敗北の可能性を高められているか。

 5:それまでの方法を180°転換するような、大きな混乱が発生しているか。

 5:最も暗い瞬間までに、代償の階層が最高位まで上げられているか。また、代償の数を増やせているか。

 6:最も暗い瞬間を打開方法は、物語上必然的なものであるかどうか。

 7:幕の最後、最も暗い瞬間の打開に、大きな認知・逆転・混乱が発生しているか。


 第三幕

 1:読者が求める感情的な解決を提示できているか。

 2:物語すべてがひっくり返るような逆転が、最後に発生しているかどうか。


 代償とは、「目的さえ達成できれば解決可能な、しかし失敗した場合すべてを失う、曖昧な状況の(しかし失敗濃厚な)オブジェクト」のこと。


 混乱とは、「当然取ろうとしていた方法が使えなくなること。その結果、別な方法、行動でアプローチをせざるを得ないような状況変化」のこと。


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構成についての注意点 真田五季 @sanadaituki

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