物語を考える際の注意点

真田五季

第1話

              物語を考える際の注意点


 1:その物語のコンセプトは適切か

1. 対立が予想されるコンセプトか。

2. 新規性があるか。

3. アンカーとなる、あるいは共感できる感情、状況があるか。


 2:どのようなジャンルの物語か。

1. そのジャンルではどのような感情が要求されているか。

Ex.恋愛:ふたりの関係の進展。障害を乗り越えての成就、あるいはそれに準じる結末。共感。その関係へ自分を没入させたいという読者感情。

主人公の性質:共感・負け犬・罪深き者・英雄。


  ホラー:逃れられない恐怖。近づいてくる破壊不可能な存在。日常が犯されていく様子。つかみどころのないものが明らかになっていく様子。そこから逃げ出したいという読者感情。

主人公の性質:共感・負け犬・罪深き者。


  サスペンス:吐き気のするような緊張感。隠された秘密が、次々に明らかとなって真相が暴露されていく様子。主人公がどんどん追い詰められ、手段を選ばなくなる。そこから逃げ出したいという読者感情。

主人公の性質:共感・負け犬・罪深き者。


  SF:現実の世界とは異なる世界。ガジェットの描写。ガジェット、その世界がいきつく末路。異常性。逃げ出したいという読者感情。あるいは主人公と共に活躍を味わいたいという読者感情。

    主人公の性質:共感・負け犬・罪深き者・英雄。


  ミステリー:どのようなトリックなのかという監査。解決されたと思ったのちに襲ってくる最後のどんでん返し。読者が主人公への憧憬、共感を持って、なぞ解きを一緒に行うこと。

    主人公の性質:共感・負け犬・罪深き者・英雄。





 ライトノベル:主人公の活躍、恵まれた環境と、自分を同化させ、肯定感を味わいたいという読者感情。読者のいる世界とは異なる、自分が受け入れられる世界。ただし、共感と主人公の努力、活躍が食傷しないように主人公を追い詰め、敗北の可能性がある対立の維持をすること。

    主人公の性質:共感・負け犬・罪深き者・英雄。


2. その要求に応えられているか

3. 主人公が追い詰められ、緊張感がまし、手段を選ばなくなっているか。

4. すべての主要登場人物が対極への変化をしているか。

5. 読者へ新しい価値観を伝えられているか。

6. 読者が救済される可能性を提示できているか。「こんな私でも変われる」「こんな私でも報われる」「こんな私でも受け入れてもらえる」


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物語を考える際の注意点 真田五季 @sanadaituki

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