栄光

「……賞として、これを称える」

 壇上で、初老の男が紙切れを差し出してくる。僕は黙って頭を下げ、これを受け取った。

 百人ほどの集団に一人。あるいはそれは、誇れることであるのかもしれない。

 僕は微笑みさえ見せた。あたかも喜びに満ちている、ように見えるよう。

 帰宅して、僕はその紙切れを引き裂き、安物のライターで火をつけた。紙切れはすぐに灰になって、細い風に舞い消えた。

 その夜、泥に溺れて死ぬ夢を見た。呼吸できない闇のなかで、なぜか僕は身じろぎ一つしなかった。

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