第474話 ガールズバトル
【 慎太郎・牡丹 組 2日目 PM 8:39 市街地K地区 】
ーー舞台は2日目に移る。慎太郎と牡丹はリッターオルデンの2人を退けた後、市街地を探索していた。当初は想定していなかった程の広大な敷地に建造物がひしめき合っている。その広さは都道府県半個分はあるんじゃないだろうかというぐらい広大だ。その中で遠くに見える城。それを一応の目的地として慎太郎と牡丹は進んでいた。
ーーそして、リッター2人との戦いの後、慎太郎と牡丹は誰とも遭遇する事無くこのK地区まで来たのだが、ここでプレイヤー6人と出くわす。およそ1日ぶりに戦闘を開始する事となったのであった。
「こりゃあ珍しい。女のプレイヤーなんてな。」
「ああ、今まで野郎しか見なかったからいねぇもんだと思ってたよ。」
「つーかコイツらどっちもツラが気にいらねぇんだけどよォォ!!!」
「おお、マジで気にいらねぇ!!!ああ?何ガンタレてんだコラァ!?アァァァ!?」
ーーこんな口調だがこいつらはみんな女である。それなのにこの口調。うーん、ヤンキーですな。
何こいつら。凄い口調ですやん。ヤンキーですやん。レディースですやん。こういう口調の女って本当に嫌だ。男でも女でもなんでこういう系の奴ってみんな同じなの。
「ハッ、何コイツ、ビビってんじゃね?」
「薫に凄まれたら漏らしちまうじゃね?」
コイツら何歳だろ。老けてるように見えるけど実際問題20前半じゃね?下手すりゃ美波とタメの可能性もある。
「タロ…シンちゃん。どうしますか?」
牡丹が澄ました顔で俺にどう行動するか聞いてくる。牡丹はイライラしないのかな?俺は結構イライラしてるんだけど。
ーーお前は短気だもんね。
「まー、残るのは1クランなんだから障害は取り除かないとな。女とは戦いにくいけど。」
「ふふふ、シンちゃんは優しいですからね。」
ーー呑気にイチャイチャしてる慎太郎と牡丹を見てゴリラ女どもが更にブスな顔へ変貌し、怒りを露わにする。
「こんのクソアマがァ…!!!テメェ、ナメ腐ってくれとるのォ!!!」
「こんなコケにされる事なんて地元じゃありえねぇよ。」
お前らの地元なんて知らんがな。
「特に気にいらねぇのは黒髪の方だな。ちっと茶っこい方も気にいらねぇがあの黒髪の目つきが気にいらねぇ。」
そんなん無茶苦茶やがな。俺が何をしたっていうんだよ。なんにもしてねーじゃねーか。
ーーお前はすぐ因縁つけられるもんね。男でも女でもそこは変わらないんだね。
「コイツらボコった後は奴隷にしてウリやらせようぜ。一発一万生中出しなら客相当つくだろ。」
「フヒヒ。1日30人は相手させてやるからなァ!!覚悟しとけよ!?」
コイツら本当に女かよ。鬼畜以外に言葉無いんだけど。
「さぁて、んじゃ始めっとすっか。一応言ッとくが、反撃したりしてアタシらン事イラつかせっとロクな事になんねぇからな。」
「反撃しなくてもボッコボコにしちゃうけど。コイツらの顔ってムカつくからよォ。」
手の骨をポキポキと鳴らし、マウントをとりまくってる。こーゆー奴をかませって言うんだよね。ま、サクっと倒して先に進むか。セイエンだかなんだかってヤバい野郎がいるわけなんだから目立つ行動は避けないといけない。即殺で行こう。牡丹なら余裕でやれるはず。
ーー自分でやらない所がヘタれだよなぁ。
「お話は終わりですか?私たちは急いでいるので速攻で始末させて頂きたいのですが。」
牡丹が何の興味も無いような目で女たちを見る。
「デケェ口利くじゃねぇか。やれるもんならやってみろやオラァ!!!」
「ではお言葉に甘えて。」
怒り狂う女たちに対して牡丹の温度は終始変わらない。そして、瞬きをする間に一歩で女たちとの間合いを詰める。その手はゼーゲンの柄に手をかけ、今まさに抜こうとしている。
間合い入られたリーダーっぽい女は牡丹に反応出来てない。鞘から抜かれた刃先が、女の首に近づこうとした時、女の口元が緩み、笑みが溢れる。
「甘ぇよ。」
牡丹が振り切ったはずのゼーゲンは女の首を落としていない。だが激しく衝突した金属音は響いた。女の首元に手が現れ、その手が手にしている槍で牡丹のゼーゲンは防がれた。よく見ると魔法陣が展開している。
「召喚系か…?牡丹!!一旦退け!!」
牡丹が俺の言葉に呼応するよう即座に後方へと跳ねて戻って来る。
「大丈夫か?ケガはない?」
「大丈夫です。ですが、甘く見ていました。防がれるとは予想していなかった。取るに足らない相手だと思っていました。」
「俺もだよ。なーんか最高に嫌な気配が漂って来てんだよなぁ。」
ーー女の前に展開する魔法陣からそのモノが姿を現わす。目鼻立ちの整った薄緑色の非常に長い髪を後ろで一本に縛る女性。その手には牡丹のゼーゲンを防いだ聖槍が握られている。
「牡丹の攻撃防いだんだから予想ついてたけど”具現”出来てんのかよ。」
めんどくせーな。てか”具現”出来る相手って初めてじゃね?楓さんがこの前戦った相手が”具現”出来たらしいけどクソ強かったらしいじゃん。こっちは無敗のヤンデレクイーンがいるから勝てるとは思うけど何かイヤーな予感がするんだよなぁ。
「甘ぇんだよテメェらは。テメェのコト強えと思ってんだろ?」
リーダーっぽい女がニヤニヤしながらこちらを見ている。傍にいる召喚系アルティメットが無表情なのが怖いな。お約束の美形だけど感情が無い人形みたいな目が更に怖い。
「根本的によ、テメェらは経験が足りねぇんだよ。何でだかわかっか?テメェが強えって自惚れてっからだよ。なぁ、島村牡丹。」
「え?知り合い?」
「いえ、知りません。」
「知り合いなわけねぇだろ!!少しは頭を使え!!働かせろ!!どんだけ顔割れてっと思ってんだ?”五帝”だ”闘神”だって言われてる奴の顔がわからねぇわけねぇだろ!?」
ーーそう、それが慎太郎たちの油断であり慢心。
「最初に話してたアタシらの会話で安心してだろ?最初っからテメェの事知ってたら警戒するもんなァ!?だから『トラップ』にだって気づかなかった。」
「トラップ…!?」
なんだ…?なにをされた…?エフェクトの発動は無かった。身体に何か枷を付けられた感じも無い。俺が状況把握していると牡丹がしまったというような顔で口を開く。
「…油断しました。タロウさん、クラウソラスが呼べません。」
「えっ?アルティメット封じかよ…」
「いえ、《水成》は使えます。恐らく手持ちの最強スキルを封じたのか、召喚系封じかと思います。」
「召喚系封じだよ。アタシと目を5秒以上合わせたら発動する。テメェは”神”だかなんだかを使えるって話だからな。それを封じさせてもらった。アタシのSSサブスキル《召喚系完全封じ》でな。コイツの効果はスゲェんだぜ?なんてったってこのイベントが終わるまで効果が続くんだ。オマケにアタシを殺しても効果は消えねぇ。」
なにそれ堪らねーんだけど。もはや呪いじゃん。試しにブルドガング呼んでみたけどダメだった。召喚そのものを封じられてるみたいだ。やばいどうしよう。超ピンチじゃない?
ーーだがピンチはまだ終わらない。
リーダー格の女以外の連中の前に魔法陣が展開される。そして現れたのは、
「えっ?六つ子!?」
同じ召喚系の奴が6人並んでやがる。六つ子やん。女の六つ子やん。こいつらもニートかなぁ。いやいや、ふざけてる場合じゃない。全員”具現”してんじゃん。
「…コレ、相当ヤバくね?」
ーー英傑たちがラウムから聖槍を取り出し戦いへと備える。
「島村を倒してアタシが”五帝”だ。この五島薫様がなァ。」
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