第345話 敵を蹴散らしますっ!
【 美波・楓 組 1日目 PM 8:18 採掘場 】
《予知》でここの未来が”視え”なかった以上、プロフェートを使うしかないよねっ。まずはーー
『ーーミナミ、プロフェートは使うな。』
私がプロフェートを使おうとすると、ノートゥングによりそれを制止される。
「えっ?どうして?」
『トラップを仕掛けられている可能性が高いのはわかる。だがそれを全て躱すのにプロフェートは一体何秒使う事になる?ヘタをすれば30秒全て消費する事になってしまう。お前が先程”視た”未来は相当なものだったのだろう?ならばこの程度の雑魚を相手にプロフェートを使うべきでは無い。苦戦はするかもしれんが妾とミナミで乗り切れば良い。仮にアルティメットを解除するようなサブスキルだったとしてももう一度使えば良いだけだ。シンタロウの持つサブスキルのようなものはコイツらは持っていないだろう。持っていれば手下どもが妾を見て怯えるはずもない。』
ーーノートゥングの言葉に美波は少し驚く。的確な意見に対してもそうだが、みんなの事を案じてくれているのがとても嬉しかったのだ。
「ふふっ、流石はノートゥングねっ。いいわっ。それでやってやるわよっ。」
『よし。妾が槍帝とやる。お前は手下3人だ。任せたぞ。』
「うんっ!」
私は腰に差すゼーゲンを鞘から引き抜く。そしてそのままの勢いで手下の男たちの元へと駆け出すと、地面から黒いエフェクトが現れる。
「おし!!かかったぜ!!」
男たちが歓喜の声を上げる。私は自分の身に起きる状態を確認する。さっきよりも身体が重い。でも足を封じられているといった類じゃない。ゼーゲンによる身体能力の上昇や”具現”による上昇値が下がったような気がする。
「へへ、そいつはお前の身体能力値を70パーダウンさせるサブスキルだ。10分は効果が切れねェぜ!!」
70%か。かなりのダウンね。それでもまだこの3人に勝つぐらいは問題無い。それに”具現”状態のノートゥングが”憑依”に負けるはずが無いから私が苦戦するようならノートゥングを待てばいいだけ。焦らないようにしよう。
そう思い、また足を進めてた時だった。地面から黒いエフェクトが現れ、そのままノートゥングの身体を包み出す。
「ノートゥング!?」
「うっしゃア!!こっちもかかったぜ!!」
男たちが再度歓喜の声を上げる。しまった。ノートゥングに効果を及ぼすナニカをかけられたんだ。
ーー美波が心配そうにノートゥングを見つめるが当の本人は特に気にする様子も無い。
「ノートゥング!?大丈夫っ!?」
ーー美波がノートゥングに声をかける。
『力をいくらか封じられたな。』
「そんなっ…!?」
ーー美波に戦慄が走る。
自分の考えが甘かったのだろうか。やはりプロフェートを使うべきだったのか。美波はそう思っていた。
「ヒヒヒ、そいつはメインスキルを50パー封じるトラップだ。」
「くっ…!」
ーー男たちから効果の程を聞き、美波が唇を噛みしめる。
そして、
「そんでコイツで完成だ!!!」
ーー男2人が黒いエフェクトを発動させ、美波たちと楓の間に透明の壁が出来る。
「ーーッツ!!美波ちゃん!?ノートゥング!?」
ーー楓がその状況を見て狼狽える。
「グハハハ!!これでお前とそっちの女は分断された。効果は数時間は切れねェぜ。さらに!!お前は今使ってるスキル以外は使えねェ。俺たちのスキルコンボを完璧に喰らっちまったってワケだ!!ここまでキレーに決まるとはな!!ハッハッハ!!」
ーー手下の男たちが一層大きな歓喜の声を上げる。気持ちいいぐらいにサブスキルのコンボが決まった事で勝負は決まったと確信したのだろう。
だが、美波の目は諦めていない。
「ふふっ。やっぱり楓さんを止めておいてよかった。あのまま行かせてたら大変な事になってたもん。」
「あ?何ブツブツ言ってんだ?」
ーーそう、あのまま楓を行かせていたら敗北は間違いなかった。何のスキルも使用していない楓が、身体能力値の低下をされればゼーゲン持ちの召喚系アルティメット相手に勝てる可能性はほぼ無い。敗れ去り、男たちに輪姦される結末だった事は明らかであろう。それを阻止した美波の功績は非常に大きい。
「それにこれ以上サブスキルが無い事もわかった。これだったら勝ちきれる。ノートゥングっ!!」
ーー美波の呼びかけにノートゥングが応える。
『ああ。コイツ程度など半分の力で十分だ。』
ーーノートゥングがラウムから聖剣を取り出し美波へ笑いかける。
「そっちは任せたわ。私はこっちでこの3人を倒す。」
ーー美波がゼーゲンを構え、戦闘態勢へ移行する。
「あ?誰が誰を倒すって?」
「いやー、最近の女は生意気だわ。玄人の俺たちをナメちゃってるもんな。」
「ヤキ入れて立場をわからせてやるよ。」
ーー美波の物言いに男たちが怒りを露わにする。
「来なさい。速攻で終わらせてあげる。」
ーー美波の戦いが幕を開ける。
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