第181話 謎解き
【 楓・美波・アリス 組 1日目 PM 9:14 洋館 東棟 2F 多目的ホール 】
ゲリライベントが始まって1時間程が経過したが私たちはこの大部屋から出る事が出来ずにいた。理由は簡単だ。私たちみんなが怖いのが苦手でこの部屋から出る勇気が湧かないのだ。
この心霊スポットみたいな場所の恐怖感は監獄の比じゃない。正直ここにいるだけで心臓発作を起こしそうだ。
「ど、どうしましょうかっ!?」
「よりによってなんでこんな場所からスタートなんでしょうか!?」
「ウフフ、本当に困ったわね。」
ダメだ…怖すぎて笑うしか無くなってる。冗談抜きで足が震えて動けない。どうしよう。
「タロウさんがいてくれてたらなぁ…」
「た、タロウさんは怖いの大丈夫なんですか!?」
「むしろ大好きって感じだったよ…この前の監獄エリアの時に目を輝かせてたもん…」
くっ…一緒にいたらベタベタできたのにッ…!!守ってもらえたのにッ…!!
「ぼ、牡丹さんが羨ましいです…!!」
「私の勘だと牡丹ちゃんって怖いの好きそうな気がするんだよね…だから今頃2人でウキウキしながら探索してるんじゃないかなぁ…」
趣味の共有って大きいわよね…気が合うって事だもの…流石は牡丹ちゃんね。
ーーその時だった。
ーーガタン
ーーガガガガガ
「「「うわぁー!!!!!」」」
ーー室内に響く異音により3人はパニックに陥る。只々3人で身を寄せ合う事しか出来ない。
いつも勝気な楓も今回ばかりは普通の女の子丸出しであった。
ーー異音は異音だがなんて事もない。風により窓が軋んだ音なだけである。心霊現象の類では無い。
だが3人のメンタルはもはや瀕死であった。特に楓は限界に近かった。
こんな状態で敵に襲われたらひとたまりもないだろう。過去最大のピンチを3人は迎えていた。
「か、風ですねっ!?」
「何か出たのかと思いました!!」
「ウフフ。」
もうダメ…精神が崩壊しそうだわ…
『何をしているんだ貴様らは。さっさと行け。』
私たちが後ろを振り向くとノートゥングが呆れたような顔をして立っていた。
「の、ノートゥング!?そうだ!!あなたがいたじゃない!!あなたは怖いの好きよね?」
『怖いの?あぁ、この場所の事か。ククク、雰囲気は申し分無いな。』
「お願い、あなたが先頭でここから脱出して下さい。」
『…なに?』
「私からもお願いします。怖すぎて無理です。」
『アリスまで何を言っておるのだ…?』
「ウフフ、お願いします、助けて下さい。」
『……』
ーーノートゥングは思った。
これ、全滅するんじゃね?
と。
********************
【 慎太郎・牡丹 組 1日目 PM 9:23 洋館 本館 3F 書斎 】
ーー慎太郎と牡丹は書斎にて鍵を探している。
ーー時間は少し遡る。
ーー慎太郎と牡丹が洋館の探索を続けようと右側の通路を進む。途中の小部屋には目もくれずに通路の先を確認しようと扉を開けようとする。しかしーー
「あれ?鍵がかかってる。」
「こちら側はまだ進めないという事でしょうか?反対側に行ってみましょうか。」
「そうだな。」
ーー慎太郎と牡丹は来た道を戻り、反対側の通路へと突き進む。そして同様に扉を開けようとドアを回すがーー
「こっちも鍵がかかってる。」
「そうなると小部屋に鍵が隠されている事になりますよね。」
「お決まりのパターンだな。もしかして謎解きとかあるかな?」
ーー慎太郎は目をキラキラと輝かせる。
「あるかも知れませんね。」
ーー同じく牡丹も目をキラキラと輝かせる。
「よっしゃ!!探すぞ牡丹!!」
「どこまでもお供致します。」
ーーそして現在に至る。
だが肝心の鍵はおろか何のアイテムも入手出来ていない。それどころかこの書斎が最後の部屋だ。慎太郎たちに焦りがーー
「何もねーな…つまんねぇ…」
「過剰に期待し過ぎたのかも知れませんね…」
ーー焦りなどあるわけがなかった。
イベントが始まってから唯の一度も緊張感を持っていない。2人ではしゃいでいるだけだ。正にバカップルと呼ぶのに相応しい程だ。
「それにしてもこの書斎は汚ねぇなぁ。ちゃんと掃除しろよ。」
「そうですね。でも貴重な本もたくさんありますよ…タロウさん!?」
牡丹が何かを見つけたように俺を呼ぶ。俺は急いで牡丹の元へと駆けつける。
「これは…電子ロックされてる金庫…!?」
「タロウさん…この展開は…!?」
「あぁ、間違い無い。謎解きだ。」
ーー慎太郎と牡丹が目配せをする。正にバカップル。
「3つのコードを入れるタイプのロックがかかってんだな。どこかにヒント無いかな。」
「お約束の展開なら金庫の裏にメモ紙が…ありました。」
「よっし!どれどれどんな謎解きかな。」
ーー慎太郎と牡丹がメモ紙を開く。
するとそこには二等辺三角形が描かれ、中にはSの記号、上の頂点には1、左下の頂点には2、右下の頂点には3と記されている。
「これは…」
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