お婆ちゃん
狭い部屋でお婆ちゃんと二人でミカンを食べていると、お婆ちゃんは僕にこう言った。
「肩叩きをしてくれたら、1叩きにつき10円あげるよ」
僕は大体100回くらい叩いてあげてて、1000円を要求した。
「まだ5回しか叩いてないよ」
お婆ちゃんはそう言うと、もっと叩けと自らの肩をポンポンと叩く。仕方ないので僕はさらに95回肩を叩いてあげると、再度1000円を要求した。
「ありがとね。でもまだ30回しか叩いてないよ」
お婆ちゃんはニコニコしながらそう言った。僕は面倒臭くなったので、さらに100回肩を叩いてあげてから、トイレに行くために天井についたドアを開いた。するとそこは戦車の砲塔になっていて、先ほどのドアはキューポラであった事に気が付いた。先ほどお婆ちゃんの肩を叩いていた場所は戦車の中だったのだ。
その事に気がつくと、急にお婆ちゃんに申し訳なくなった。再度狭い部屋に戻ると、そこはハムスター小屋になっていて、お婆ちゃんがハムスターと戯れていた。そんなお婆ちゃんに声をかけると、僕は深々と頭を下げ、お婆ちゃんに謝った。
「大丈夫だよ」
お婆ちゃんは優しくそう言うと、手に持ったハムスターを食べた。
了
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます