第4話 予期せぬ死

雨が降りだしていた。

自室のアパートに帰った俺はやり遂げた達成感に缶ビールを開けて飲み干す。


「はぁ~美味い…」


元々酒はあまり強くないのだが今日は記念すべき日だ。

飲みかけの缶ビールを一度置いて服を着替える。

真夏とは言わないがコートを着ていた事で汗をかいたのだ。


「疲れたな…」


缶ビールを再び口にしてベットに横になる。

見慣れた天井が真新しい感じがして口元が緩む。

何かを成し遂げたときに世界が変わって見える、とはこう言うことなのかと感じた。


「たまには実家にでも帰るか」


誰に告げるわけでもなく口にしてそのまま目を閉じる。

アルコールのせいか直ぐに意識は遠のいて眠りにつく…






「あれ?」


尿意を感じ目を開いた。

だが部屋の中が妙に暗く感じ声に出した。

電気は消してなかった筈である。

なのに妙に暗い…いや…


「あっあれっ?」


視線を動かすと一部分だけが見える事に気が付く、だが徐々にその見える部分が闇に侵食されるように見えなくなっていく…

驚いて携帯を手にして助けを呼ぼうとするのだが手が上手く動かない…


そして、視界が全て闇に染まると同時に体が痺れて完全に動かなくなってしまった。

その状態になって初めて自分に何が起こっているのか分かった。

まるで天の提示かのように見えなくなった視界にあの瞬間が思い出される…

そう、駅の階段でぶつかったあのおっさんである。


呼吸が徐々にしにくくなり俺はそのまま意識を闇へと沈める…

俺が最後に頭に残した言葉は『くも膜下出血』であった。

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