「努」

 勉強に疲れた。テレビゲームをしよう。

 そこでふと母が近づいてくる。

「私の子なんだから、勉強してくれるわよね?」

 ぼくは渋々勉強机へ向かった。抵抗するだけ無駄な話だ。


 受験に受かった。県でもトップレベルの進学校。

「流石父さんの子だな!」

 は?別にお前の子供だから受かった訳じゃない。全てはぼくの努力があったからだ。

 ぼくは笑顔で取り繕った。


 部活の県大会で優勝した。コーチがインタビューを受けている。

「私の教育が良かったからではなく、彼自身が頑張ったから……」

 全くもってその通りだ。でも心の中ではそう思っていないのであろう笑顔に、殺意に近いものが湧いた。全てはぼくが頑張ったからだ。


 部屋が真っ赤に染まった。

 独房にぶち込まれる日もそう遠くないだろう。

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