「違」

 私には一人弟がいる。

 弟は昔不良で、更生した当初の成績は酷いものだった。

 対して私は、定期テストでは必ず5位以内に入っている。最初は偉いと親は褒めてくれたが、日が経つにつれ、それは私にではなく、弟に向けられるようになった。

 弟は地頭が良く、みるみる成績を伸ばしていった。たまに成績が落ちることがあっても、親はいつも5位以内には入っている私を褒めるのではなく、弟を慰めるようになった。弟が良い点を取った日には親は今にも踊り出しそうに喜んでいる。

 どれもこれも弟が不良だったから。全ては当たり前のことなのに、弟ばかりが褒められる。

 私は今、学校の屋上にいる。

 この世界は間違っている。だから私は新しい世界に旅立つ事にした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る