普通の原田先生
ほげほげまつり
1時間目。寝坊
六月一日
それは祝日が1日も無いクソったれな月の始まりである。
何とかして祝日を増やしてもらえないか直訴したいくらいだ。
俺は原田わたる25歳のピチピチ教員だ。
3年目にしてようやく主担任になることができて2ヶ月が過ぎた。
高校生という1番めんどくさい年頃の子達に教えているのだが、想像してたよりも良い子達ばかりで救われている。
部活というボランティアを行うことも無く、気ままに休日をエンジョイ!
絶賛彼女募集中!
彼女がいたこともあったがもう7年も彼女がいない・・・
親しい友人からは、別に顔も悪くは無いし、太ってもないし、歯並びも悪くないし、禿げてもないし、脚が短いとかでもないけどモテないよな。性格悪いんじゃないか?と貶されたことがある。
だが類友と言う言葉があるので、それが本当ならお前も性格が悪いぞクソが!
さて、とりあえず困ったことがある。
現在朝7:50
本来であれば既に家を出て20分後の時間帯
今の俺は寝巻きに布団の中で寝転がっている。
というか、今起きた。。。
チュンチュンと1DKの一人暮らし向けマンションに小鳥の鳴き声が開けた窓から響いた。。。
・・・・・・
目覚まし時計さん?どうして僕を起こしてくれなかったの?あなたこれで何回目なの?何度も言ってるよね?目覚まし時計なんだから目覚めさせないと意味が無いよね?お仕事放棄ですか?何ですか?この狭い1DKで目覚まし時計ストライキでも発生してるのでしょうか?
「遅刻はやばい!!!!」
時計を睨みつけてもしょうがない、現実逃避をやめる瞬間が訪れた
俺にはちょっと特殊な能力がある。
こんな時に便利な
下手にバレて国の偉い機関から、解剖とかされるのが怖いので子供の時から秘密にしている能力
空間転移
自分自身だけを1m移動
一瞬で全裸になるとパンツだけを回収し、着替えを始める
自分自身、もしくは自分が触れているものを半径2メートル動かせる能力
このちょっとした能力の最大の利点は瞬間脱衣に限る
正直、風呂入る時や着替えの時にしか使わない・・・だってね、バレたら解剖されちゃうじゃん・・・両親にも言ってないよ
だって、子供のころに超能力者がテレビに出て有名になって、国の機関から追いかけられて捕まって解剖されるって映画見たときに恐怖を感じたよ
無理だよ。あれから20年弱経ってるけどあれはトラウマだよ
朝のコーヒータイムもカット
ご飯も・・・カット
ダイエットにいいかなと、最近少しだけビール腹になりつつある身体を見てポジティブに考えた
結果、家を出たのは7:53
これならセーフだ
愛娘と思っているバイクに跨り、エンジンを震わせる
750㏄の名前はニンちゃんである
可愛らしい美しいフォルム、5年たっても無事故を守っているため綺麗な姿である
最近ちょっとじゃじゃ馬になって、エンジンがつきづらくなってしまっているが、まだまだ現役だ
ヘルメットを被り寝ぐせが直るので、朝の時間短縮に一石二鳥である
「さぁ行くぞニンちゃん!今日は上を使うからな」
ポンポンとハンドルを2回叩いて、クラッチを握りアクセルを捻り2回空ぶかししてから発進する
こうしないと、へたるからなぁ
いつもは鈍行でゆっくりであるが、今日は遅刻する可能性があるので血涙を流しながら高速へ向かう
安月給には響くんだよなぁETC代…
高速を使うこと15分、学校に到着である
下だと40分かかるけど、やっぱ高速は楽だわ。ウチの学校は私立ああああ学校
嘘ではない…事実である
最初に学校名を聞いた時に、どこの勇者の名前だよと脳内で突っ込んだ
だって、ああああだよ?略すとあ4学校らしいけど、浸透はあまりしてない
ああああ学校なので、正直「あああああ」でもわかるし「あああ」でもわかるからであると勝手に決めている
こんなふざけた名前の高校は無いと思っている
調べてないからわからないけど
8:20着
まだ生徒たちの数は少ないけど、間違っても事故の無いようにギアを落としながら徐行で敷地に入場
「うわっ」
思わず声を上げてしまう
校門に理事長が立っていたからだ
急ブレーキ
徐行だったのでそこまで反動はなかったのが幸いだ
直ぐにバイクから降りて、ヘルメットを外す
「おはようございます!!!」
バイクに乗りながらは失礼だと思っている…理事長はやばい、あの人はほんとに駄目だ。ご機嫌を損ねたら殺される
「おう、わたるおはよう!今日はバイクなのか」
理事長…特殊能力者である
しかも、チンケな俺と違ってガチでキチガイなレベルな能力をお持ちだ
俺がちょっと特殊な能力を持っているのもこの人しか知らない
理事長は古里 優斗(こり ゆうと)35歳でかなり若い
だが、このふざけた「ああああ学校」を作ったのも古里さんである
正直、理事長じゃなくてモデルやればよくね?ってレベルでイケメンである
だが、この人は理事長である。そして金持ちである。石油王でもなく、親が金持ちでもない。ただただ古里さんの特殊能力を使っての金持ちだ
この人とあったのも5年前だよなぁ。意外と長い
「あ?無視たぁいい度胸だな?廃人にでもするか?」
「!!?」
しまった!考えにふけっていた!
古里さんはマジでやばい、もう廃人一歩手前になるレベルでやばい
「今日はバイクです!!ちょっと遅れそうだったんでぇえ!!!!!!!」
古里さんの能力は、自身の姿を何でもいいから認識していれば対象を好き勝手決めて記憶を弄れるものである
俺以外の特殊能力者にあったことは一度もなかったが、こんなキチガイいるんだぁ…へぇ~って現実逃避したほどである
「まぁ朝早く来るのはいいことだ!今日もがんばれよ」
爽やかな笑顔
これだけで、惚れる女の人もいるだろう
だが、恐怖しかない
「頑張ります!!!!!!!!」
まぁ根は良い人なのだ
俺をこの学校に招待してもらったのも、この人のおかげである
最敬礼を意識して全力で頭を下げる。笑顔で手を振ってくれているのでもう一度会釈程度に頭を下げてバイクを押して駐車場へ
「あっ、原田先生おはようございます」
道中で同僚と出会う
坂上 はじめ(さかがみ はじめ)先生である
「おはようございます。坂上先生」
40歳ほどの女性の教師であり、ゆったりしている国語担当の先生である
快活な笑顔が寝坊した顔に染みる
「あら?原田先生今日はバイクなんですか?」
「あ~ちょっとした事情がありまして」
流石に寝坊したのでバイクできましたとは言えない…
誤魔化すしかない
「今日って、定例飲み会だった気が?」
Oh......
忘れていたよ…今夜は君を置いてくことになりそうだニンちゃん…
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