第四章4 『ソフィアの収監』
イリアス国教会――第零課正史編纂室にて
「転生者プルートの暗殺をもって、
「そうだね。ミミも
「うん。それもあるけど。今はスリーエムの完成の方が優先度は高いかな」
「スリーエム?」
「そう。転生者へパイトスが未完に終わった
「きーちゃんにはこれからしばらく、一人で行動してもらわなくちゃいけない」
「ミミと別行動を取ると言うことか?」
「そう」
「なぜ――?」
「ミミがこの教会に戻るのを許されたのは
桐咲禊の恩赦の条件でもあったが、
ミミはあえて語らなかった。
「ミミ一人を残して教会から出るなんてできない。ミミの安全が保障できない」
「きーちゃんありがと。だけどそれは大丈夫かな。へパイトスの残した
「でも……」
「ミミは大丈夫。気持ちだけは嬉しい――だけどきーちゃんとミミが優先すべきことはソレじゃないよね?」
――無言で首を縦に振る
「そうだね。今更確認なんて必要なかったね。そのためにきーちゃんにはまだ――修羅の道を進んでもらわなくてはいけない」
「覚悟は――できている」
「きーちゃんの覚悟は知っているよ」
ミミの心配を解くのは難しそうだ。
――僕はスリーエムの方に話を戻す。
「ところで、スリーエムというのは完成したのか?」
「ミミの方でのスリーエムの最終調整は終わったよ」
スリーエム――。ミミを成長させた
ような
もっとも、ミミはハーフリング族なので
これ以上成長しないのだけれども。
「これが、そうか」
「そう。あとは
一旦、間をおいて言葉を紡ぐ
「そのまえに――きーちゃんはこのタブレットを飲んで」
精神錯乱に陥った狂人に
与えられる強力な精神抑制剤。
この教会に入信当初、いろいろ
なことをする前に飲まされた
あの――赤いタブレット
「それは、必要ない」
恐怖――。意識が溶けるあの感覚。
いやだいやだ――のみたくない。
「きーちゃん。ミミを信じて、お願い飲んで」
「分かったよ。ミミ」
ミミから渡されたグラスの水で
「それじゃ
*******************
*******************
「きーちゃんお願い――
――
突然目の前が暗くなる。
目の前の空間ががゆがむ。
くらくらする。ぐるぐるする。
なんだ――これは。
頭の中の誰かが問いかける。
なぜ峰岸 亨を殺した桐咲 禊。
なぜカッツェを殺した桐咲 禊。
なぜプルートを殺した桐咲 禊。
なぜ■■■を殺した桐咲 禊。
なぜ■■■■■■■桐咲 禊。
なぜ■■■■■■■■■■。
殺した殺した殺した殺した
殺した殺した殺した殺した
殺した殺した殺した殺した
殺した殺した殺した殺した
殺した殺した殺した殺した
殺した殺した殺した殺した
殺した殺した殺した殺した
殺した殺した殺した殺した
殺した殺した殺した殺した
殺した殺した殺した殺した
おまえが――死ね、桐咲禊
「おええぇ――」
失態――。
腸内で完全に吸収仕切る前に
吐き出してしまった。
脳内の声は大きくなる――。
「いけない。エリス――手荒な方法でも構わない。きーちゃんの意識を止めて!」
――ブラックアウト。
そこで意識が途絶えた。
なぜ殺した桐咲 禊
◆◇◆◇
どれだけ眠っていたのだろうか。
第零課正史編纂室で目を覚ました。
腕には点滴のケーブルが繋がれている。
「きーちゃん起きて」
「おきてるよ」
「そう。よかった。きーちゃんはもう限界だね」
「大丈夫だ。問題ない」
「
「大丈夫だ。問題ない」
「きーちゃん……」
ミミは目の前の男の姿に
思わず涙が
許されない――そんなことは。
「大丈夫だ。問題ない」
「きーちゃんはここで降りて――ミミだけでも、やれる」
「ミミ――心得違いをするな。やりたくてやっていることだ」
「分かった。信じる――でもタブレットを飲むことだけは忘れないで」
「分かっている――」
いったん間をおいて僕は答える
「でも。この脳の状態では糸はうまく操れそうにないな――」
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