ハンティング

「もう栗はこれくらいで良いんじゃないですか? あっ、クランベリーの場所聞いておくの忘れてましたね」


「別にいいよ。私ここに住んでるからいつでも採れるしね。フェアリーベリーってどんなの?」


「フェアリーベリーはフランボワーズを少し大きくした感じです。甘酸っぱくて美味しいですよ」


 フランボワーズ、たまらん! ケーキ、ケーキを! チーズケーキにフランボワーズソース、もしくはフランボワーズムースケーキ!


 よ、涎が出てきた。クランベリーよりラズベリーの方が好き。そもそもクランベリーってそのまま食べないもんね。


 フランボワーズってラズベリーのフランス語。パティシエとかパティシエールもフランス語だし、スイーツはフランスが強いのかな? ショコラトリーも多そうだし、ショコラティエもショコラトリーも、というかショコラ自体フランス語だもんね。


 日本じゃベリーのままだとラズベリーで、ケーキにするとフランボワーズって書いてある気がするもん。そのせいか、私はラズベリーって聞くと甘さより酸っぱさが強くイメージされて、フランボワーズって聞くと酸っぱさより甘さがイメージされる。


 そもそも、この世界がヨーロッパ風だから翻訳機能もフランス語よりなのかな。私の知ってるフランス語なんて食べ物関係しか無いから、その辺りだけ採用されてるのかも。もうちょっとフランス語知ってたらもっと外国気分で楽しかったかもね。


「あ、ブルーベリーみたいなの発見! 美味しそう!」


 蔦にブルーベリーみたいなのがモリモリついてる。山ブドウほどではないけど。ちなみにブルーベリーのフランス語は知らない。


「あ、それはミケミケと言って、毒がありますからダメですよ?」


「ええっ、美味しそうなのになー。やっぱり素人は木の実とかキノコに手を出しちゃダメだね」


 ミケミケ:ツヅラフジ科。この世界の特有種。樹液、茎、根からクラーレが抽出できる。


 ツヅラフジね、舌切り雀でお馴染みの葛籠(つづら)を作るのに使われたんだ。ん、ククク、クラーレ! クラーレですって!?


 クラーレっていうのは筋弛緩薬になるんだけど、元々は狩猟で使われる毒で、毒矢として有効なのに、毒矢で捕った獲物を食べても無害という素晴らしい毒薬なのだ。昔授業で習ったなー懐かしい。


 弓矢がメインウエポンになるなら、毒矢は有効だね。アイヌはトリカブトの毒矢で狩猟してたらしいよ。トリカブト矢使うと食べるのちょっと恐いなあ。魔物用に一応作っておこうかなぁ。


 毒って少量なら薬になることが多いんだけど、量の調整は私には無理だ。残念。


「これ毒矢にできそうだから回収しておくね」


「ああ、そうですね。レンジャーがよく使います。ミケミケの毒ならお肉も買い取れますよ。買い取れなくなる毒も在りますから気を付けてくださいね」


「もちろん! 中毒とかになったら大変だもん」


 アイテム説明機能でシナモンとかカルダモンも見つけられないものかな。まあ、もっと暑いところに生えてるんだろうけど。


 シナモンも軽い毒性があるし桂皮という名前の漢方薬にもなる。毒があったら薬にする、それが医学なのです! ちなみに何に効くかは知りません!


「そろそろ試し撃ちしておこうかな。イノシシとかだと、ぶっつけ本番は恐いし」


「そうですね、あの木の実でも撃ち落としてみたら如何ですか?」


 あ、あれ、あけびじゃない? 私、一回しか食べたこと無いし、子供の頃だったから味憶えてないや。


「あれって、あけび?」


「そうです。味はそれなりなのでわざわざ採りませんけど」


 矢筒から矢を取りつがえる。弓のちゃんとした構えとか知らないけど、遊びで和弓を射たときのことを思い出して弦を引く。


 玩具みたいなサイズなのに、弦はとても堅くて重い。でもそれが力強さになって私を勇気付けてくれる。


 矢をつがえて照準しようとすると、あけびが拡大して見えるようになり、レーザーポインターのような点も見えるようになった。どうやら照準機能付きみたい。親切設計。スキルかもしれないけど。


 射撃は重力を加味して照準しないと下の方に着弾しちゃうんだけど、とりあえず不思議機能を信じて重力や風を加味せずに照準。


 シュート!


 ヒット!


 狙い違わず茎を撃ち抜き、あけびか落ちてきた。外れたら実を射ろうと思ってたんだけど、茎の細さで狙えるとは、これがチートと言うヤツか!


 クルミ・マーガレット・ミルク

 LV:5

 スキル:料理、手芸、農業

 魔法:火魔法

 装備効果:射撃、鷹の目


 装備効果ってクラフト系だけやたら細かかったけど、後のはざっくりしてる。これも私の趣味嗜好を反映しているのかな。


 家事とか射撃とか、ざっくりし過ぎよね。複合スキルなのかな。家事が家事のさしすせそで、射撃は必中、速射とかかな?


 この辺りがMMORPGと箱庭ゲームの方向性の違いかな。ブルーベル・フォレストじゃ、射撃なんてオマケだもん。料理とか物作りの方がメインコンテンツに近いもんね。家事も躾とか洗濯とか掃除とかしないもん。裁縫は手芸クラフトがあったけど。そもそも、私的なメインコンテンツは可愛くオシャレして遊ぶことだしね


 射撃スキルも手抜き感があるけど、その代わりチートが載っている。スナイピングゲームの転移とかなら、重力とか風の補正は自分でするのが醍醐味だろうから、こんな楽チン照準じゃないだろうし、矢や弾も有限だっただろう。


 自分や武器の強さがさっぱり分からないのが難点だけど、戦闘に関してガチじゃないのは助かる。


 だって、魔物とか普通恐いよ? 熊とかライオンでも恐いのに、ビッグボアなんてもっと大きかったよ?


 あれに剣で突っ込むなんて、頭がおかしい。無理無理! せめて遠距離。アフリカでもライオンなんて会ったら死ぬときだから、アフリカの人は日本に来るまでライオン見たことなかったとかいう逸話もあるくらい。そもそも狩りとか近接戦なんてしないものだよ、危ないもん。


 魔法があるなら魔法よね。私のはポコボールだけど。今度何か習ってみようかな。


「シャーリーさんは魔法使えるの? それとも武器?」


「武器も使いますし、魔法も使いますよ。武器はこれです」


 シャーリーさんは腰の後ろに付けた鞭を見せてくれた。


「鞭じゃ間合いが近かったり攻撃力が足らなかったりしないの?」


 鞭って痛いけど、殺傷性はあまり無いイメージ。


「うーん、クルミさんは迷い人だから仕方ありませんけど、本当は人の手の内を聞くのはマナー違反なんですよ。他の人には聞いちゃダメですよ?」


「そ、そうなんだ。ごめんなさい」


「知らなかったんですから、謝らなくて良いですよ。私の鞭はミスリルとオリハルコンを編み込んでいて、魔力を通すんです。

 魔力によって伸縮しますし、斬撃特性が付加されますから、このように…」


 スパァン!


 全く手の動きが見えませんけど? レベル、たったの5のゴミなんですけど、私。


 目をパチパチしていると、20メートルほど離れた木が大きな音を立てて倒れていった。


 どういうこと?


 間に木が立ってますよね? どうしてその向こうの木が切り倒されてるんですか? それに鞭の長さより遠いですよね? 鞭って木を切り倒せるんですね、初めて知りました。


「鞭の先端は軽く音速を越えますし、先端のアダマンタイトで重さも十分。斬撃特性を付与していなくても、セリスさん風に言えばビッグボアくらい一撃ですよ?」


 そうですか。私だけダメな子なんですね。さっきちょっと、私スナイパーできんじゃね?とか思ってごめんなさい。


「無茶苦茶凄いんですけど! 私のあけびショットが恥ずかしくなってきたんですけど!」


「私はAランクハンターですから、ハンターではないクルミさんが卑下することはありませんよ」


「そ、そう?」


 チート凄いって思ったのも束の間、現地人は素で修羅でした。


 木が倒れたことで、鳥がギャアギャア騒いでいる。上空を見ると鳥が一羽飛去って行こうとしていた。


 私は無意識的に矢を放っていた。かなり高いところを飛んでいたのに、矢は鳥の首を撃ち抜いた。ええっ!? 照準も何もした覚えないんですけど! 自動射撃なんですか? 恐いんですけど!


「ナイスショット! あの高さを射抜くなんてクルミさんもやりますね!」


「え? う、うん。まぁ、その、うん」


 撃つつもりも無いのにやってしまったので、なんともコメントし辛い。


 自動射撃は止めてほしい。シロとかセリスを撃っちゃったらどうするの!


 鳥を拾いに行く途中で、ココが涙目で飛んできた。


「ふわわわっ! びっ、びっくりしたの!」


 ココは栗拾いに夢中になり過ぎ。どこにいたのよ。


「あっ、ココさん、驚かしてしまってごめんなさい」


 ココは、私に抱きついて震えていた。


「もうっ! 気を付けるの!」


「はい、すいません」


「ココもフラフラ離れてたら危ないよ?」


「そんなに離れてないの。いっぱい栗拾ったの! これで美味しいの作ってなの!」


 相変わらずの食いしん坊キャラですね。まあ、作りますけどね。ココはシステム側のキャラだったからか、インベトリを使える。私のインベトリとは分けられているみたい。


「だ、大丈夫ー!?」


 遠くからセリスが駆けてきた。木が倒れたりしたから心配して戻ってきてくれたみたい。


「ごめん、大丈夫。シャーリーさんに武器の使い方見せてもらってたの」


「ええっ!? ず、ずるいよ! 私も見たかったのにー!」


 セリスが頬を膨らませている。あらあら、セリスったら、お子様ね。とっても可愛いわよ。


「ふふふっ、残念でしたー!」


「えー、クルミばっかりずるいー」


「あまりやると環境破壊になってしまいますから、また機会があれば」


 一撃で環境破壊を心配するんですか、そうですか。私はあけびが採れるか心配しましたけどね。


「まあ、いいじゃない。セリスはもう何か穫れた?」


「えー? うん、まあ、鹿を穫ってきたよ」


 セリスは鹿を入れているのだろうアイテム袋を掲げた。


「アイテム袋持ってたんだ」


「そりゃあ、持ってるよ。ハンターだし」


「ビッグボアの時使わなかったじゃない」


「あのビッグボアは流石に入らないよ。あの時は薬草採取がメインだったから、それ入れてたの。ホーンラビットを入れると薬草が汚れちゃうからね」


 そうか、インベトリじゃないもんね。アイテムソートとか分けてくれないんだ。ただの中の広い袋みたいになってるのかな。


「もう鹿を穫ってくるなんて、セリスさんは優秀ですね」


「えっ、えへへ。いつもは山菜とか薬草とか探しながら狩りもしますけど、今回は採取してないから早いだけですよー」


「セリス、凄いの!」


 尊敬するシャーリーさんに褒められて、セリスが赤くなってる。でもハンティングなんてもっと時間が掛かるものだし、何も穫れないことも多いのにそんな大物を穫ってくるなんて凄い。


「私はこの鳥だけ」


「あららぁ? クルミちゃん、ギブアップかな?」


「ま、まだだし! まだ時間ちょっと残ってるし! シロもまだ帰ってきてないし!」


 シロがちゃんと鹿かイノシシくらい追い込んで来てくれるはずだ。


「オオォーン!」


 シロの雄叫びが聞こえた。獲物がいたのだろう。すると間を置かずに木々が倒れる音がした。


「えっ、なんか音が大きくない? シロ何見つけてきたのよ」


「こ、恐いの!」


 段々と音源が近付いてきて、焦ってきた。慌てて矢をつがえる。


「なんだろう、大きいよ!」


「気を付けて! 大型の魔物のようです!」


 ええ? 現地Aランクハンターの修羅の人が気を付けてって言っちゃうんですか。恐いんですけど!


「か、隠れた方がいいかな!?」


「どうせバレますから、身動きのとりやすいポジショニングで、互いの射線に気を付けて!」


 はい、師匠!


 私達はフレンドリーファイヤーをしないように散開した。まあ、心配なのは私だけですからね。


「クルミさんは、私の後ろに!」


「ううん! 恐いけど私が闘うよ! シロが追い込んでくるんだから、私の責任だもん!」


 いくら素人で恐いとは言え、精神年齢は私が断然年上。シャーリーだってハタチ前後くらいだし、若者を守るのは当然! ま、守れたら良いなぁ!


 ついに獲物が現れた。森の木々よりも高く大きい。そんなの、どこに隠れていたのか。


 そしてその獣はとても恐ろしくない雄叫びをあげて襲いかかってきた。


「がおー」


 えー? あれー?


「なっ、なにあれ! あんなの見たことないよ!?」


「大きいですね。私でも見たことのない魔物です。ん? これ、魔物?」


 いや、あの、多分魔物じゃありません。


 可愛らしい顔をした獣が、鋭くない爪で攻撃してくる。そこそこ早い。


 木々がへし折られ、破片に当たってしまったセリスがバランスを崩した。


「セリスさん!」


 シャーリーさんの、あの恐ろしい鞭が唸る! しかし効果がなかった!


 ぽよーん!


 鞭は、ぽよんと弾き返された。獣は修羅の一撃を気にもせず、セリスに襲いかかった。


 セリスはかろうじて身をかわしたが、皮の胸当てが千切れ飛び、胸元があらわになる。あっ、意外に着痩せするんだね。


 カシャッ


 ん? 何の音?


 ダメだ。緊張感が持てない。


 だって、くまさんなんだもん。


 大きいぬいぐるみのくまさんなんだもん。


 これ、くまレイドだよね。何にも怪我しないヤツ。服とかアクセサリーが壊されるだけの。


 だって、セリス、まあまあの当たり方したのに血が出てないもん。おっぱい出てるけど。


 なんかごめん。


「二人とも下がって! こいつは私が一人で狩るから!」


 どうせ死なないし。


 これ、どう見ても私達ブルーベル・フォレスト勢のせいだし。


 修羅の人の攻撃が無効なのも、効果音がファンシーで緊張感を削ぐのもそのせい。どうせブルーベル・フォレストの武器しか効かないんでしょ。


「そんな! 危険です! 私の鞭すら効かないんですよ! 

 ヴァーミリオン・サンダーボルト!」


 私の緊張感の無さに比べて、修羅の人の緊迫感が凄い。轟音と共に赤い稲光が走ったが、ぽよよーんという効果音とともにかき消されてしまった。


 その効果音やめてください。なんか私の黒歴史を公開されてるみたいというか、命懸けで私を助けてくれようとしてる人に、恥ずかしくて申し訳無くていたたまれない。


 私の身内が、誠に申し訳ない。


「なっ、朱き閃光と言われたシャーリー先輩の雷魔法が効かないなんて!」


 やめて、私を追い込まないで! そんなおっぱい隠しながら説明口調で! ほんとは余裕なんでしょ!?


 シャーリーさんのおっぱいも狙われてしまったが、シロが体当たりで攻撃をそらした。残念…じゃなかった! よくやった、シロ! 別にシャーリーのおっぱいも見たかったなんて思ってないよ!


「も、もう、良いから、二人とも! ほんと、ごめんなさい! 後で沢山ごちそうするから!」


 一刻も早くこの辱めから脱しなくては!


 行くぜ! 本気モード! てめえは私を怒らせた!


 私の弓が銀色に輝き出した。


 えっ、待って。そんなの知らないよ? そんなの無かったよね? アップデートですか?


「な、なんなの! どうなってるの!?」


 ココも驚いてる。


 玩具サイズだった弓が大きくなり、和弓とまではいかないものの、アーチェリーサイズになった。


 輝きが強くなるとともに、リーンというかキーンというか、可聴域ギリギリの物凄く高い音が微かに鳴り始めた。


 そしてつがえていた矢が消え、輝く光の矢がつがえられていた。


 えー、これ、爆発しない? なんでこんな少年マンガみたいなノリになってるのこの弓は。なんなの? 溜め撃ちなの? チャージなの?


「な、なんか凄いの」


 私、本気モードって単にひたすら連射するつもりだったんだけど。スマホゲームのときはひたすらタップしたら倒せたからさ。


 いや、戦略とか戦闘スキルとかないもん。フレンドリーファイヤーもないし。皆で囲んでハリネズミにして終わり。だって単なるミニイベントだし。


 どっちかというと、倒した後のクマ鍋祭りと、討伐報酬のクマの着ぐるみを着て、皆で踊ったりするのがメインだから。


 なんか溜めすぎても爆発しそうだから撃ってしまおう。


 ほんと、ごめん。一生懸命私をかばって闘ってくれてるのは、本当にありがたいんだけど、ちょっと邪魔なの。撃てないの。ごめん、どいて?


「シャーリーさん! 撃てないからどいて! あと、ズボン破れてお尻見えてるから!」


 カシャッ


「で、でも!」


 本当にいつの間に喰らってたの? 本当にありがとうございます。


「大丈夫だから! そいつ、私何度も倒したことあるから! あと、おっぱいも片方、サクランボ見えてるから!」


 カシャカシャカシャ


 修羅の人は戦闘中にサクランボが見えても気にしない。凄い。私は無理。見てるだけで恥ずかしいから、早く退いて。しかし凄い胸の形綺麗だね。


 カシャッ


 シロがクマとシャーリーさんの間に立ちふさがった。シロ、格好いい!


「シャーリーさん! 一旦クルミの指示に従って!」


「くっ!」


 最後に鞭を思いっ切り叩きつけたみたいだけど、ぽよーんと跳ね返されてる。まあ、速過ぎて叩きつけてるところなんて見えないんだけどさ。


 やっと退いてくれた。それ! これからクルミちゃんの速射の見せ場だよ!


 銀の閃光が放たれ、クマの首を吹き飛ばした。


 …えっ。


 ミニゲームとは言え、一応なんちゃってレイドだったから百発くらいは撃ち込むつもりだったんだけど。


 なにこれ?


 首がもげちゃって、ぬいぐるみとは言え、なんかグロいんだけど。


 あかん、これあかんやつや。


 なんか、転移してからちょっとおかしなところがあるよね。ただの火の玉のウィルオウィスプがやたら強かったり、弾数無限なだけの弓が、なんかレーザービームみたいなの出しちゃうし。


 これがチートなんだろうけど、そんな物騒なチートいらないんだけど。あれ? 本当に私勇者召喚されてたりして。


 ははは、まさか! ほのぼの系ゲームから召喚するなんて、そんなうっかりさんな。


 ああっ! なんか脳裏に、魔力だけは凄いけど天然うっかりさんな可愛い姫様がテヘッて舌を出すイメージが! テヘペロか! 可愛いわっ!


 変な映像が浮かんでしまった。映像はイメージですとかキャプションはないのか。


 イメージだよね? 今の可愛い人、ヴァルシュタットの皇女じゃないよね? 私、千里眼のスキルとか持ってないもんね!? とっても可愛かったけど、もう出てこなくて良いからね!?


「「えっえええっ!!」」


 いや、私こそ色々『えええっ!?』ですけど。


 なんか色々気まずくて振り返れないので、クマの所に行くと、中身は綿が詰まっているだけでグロくなかった。良かった。良かったけど、これでどうやってクマ鍋してたんだ。


 するとクマが光に包まれて小さくなり、見慣れたクマの着ぐるみと油紙に包まれたお肉が残された。やっぱり妖精肉なのか。


 討伐報酬まで出てしまっては、言い訳のしようもない。ため息をつきつつ、着ぐるみとお肉をインベトリに入れた。どうせなら熊の手が良かったな。美味しいんでしょ、熊の手。


 でもさ、討伐報酬もクマぐるみも出てきてもいいけどさ、いつも通り連射で倒させてよ。この攻撃的なチートは恐いよ。シロまで吹き飛んだらどうするのよ。そこで小さくなって恐がってるじゃない。


 あれ? 着ぐるみとかをインベトリに入れた時に脳内ディスプレイが立ち上がったけど、アルバムにNEWが付いてる。なんだこれ?


 あああっ! おっぱい! おっぱいがいっぱい! おっぱい祭りや! ぷるんぷるん!


 あかん、これ、あかんやつや! 盗撮は犯罪ですよ!?


 いやぁ、これ凄いな! 写真なんだけど、前も言ったみたいにクリックすると動くんだ。おっぱいの弾み方がよく分かる。しかもアングルを変えて上からとか下からとか見れてしまう。しかも拡大できる。ちょっと、シャーリー姉さん! 胸元の黒子はエロいっすよ!


 お、恐ろしい、変態チートを見つけてしまった。この自動撮影チートが他人に付かなくて良かった。


 まあ、チートの研究用にこの写真は置いておかないといけないね。研究用だから仕方ない。ところで、おっぱいフォルダーって誰が作ったのよ。自動生成でおっぱいってフォルダー名付いてるの?

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