チート能力をもってしても孤独は回避できなかった

るぽるぽるっぽ

第1話 開闢

俺は強い。でも孤独だ。


俺は今強敵と戦っている。

敵はSランクのドラゴン。インフェルノドラゴン。

赤黒い体から放たれる魔力は近くにいるだけで、並の人間なら瘴気にあてられ死んでしまう。

たった一体でも小さな国の軍隊ならば亡ぶと言われている。それ程に凶悪な存在だ。

「グオオオォ!!!」

ドラゴンが唸りをあげ魔力を込めた腕をこちらに振り下ろす。

「その程度では!」

相手の攻撃を見極め、大きくは動かず小さい動きで攻撃をかわす。

かわしたのと同時に手に持った剣から光波を出し、敵の胴体に攻撃をあてる。

俺の攻撃は周囲に衝撃と閃光をもたらし、空気と地面が震える。

「グォッ……!」

ドラゴンは少し怯んだ様子を見せたが、それでも致命の一撃にはならなかったようだ。

俺とドラゴンはしばしにらみ合いを続ける。


俺の名前は「西京 野上(サイキョウ ノガミ)」。

年齢は18歳……ということになっている。

何故俺がこれほどまでの相手、一国を亡ぼしかねない相手と戦えるのかといえば、ありていに言って俺がチート級の能力の持ち主だからだ。

自分で言うのも恥ずかしいが、はっきり言って俺は誰よりも強い

自分の住んでいる国だけじゃない。この世界全てだ。

人間か、そうじゃないかも関係ない。俺はそれほどに強い。自信を持って言える。

俺に勝てる相手なんていない。


にらみ合いを続けていると、敵の方が先に動いた。

その口を大きく開けると魔方陣が現れレーザーのようなブレスを撃ってきた。

こちらに向かって放たれた極大のブレスは大地を削りながら進んでくる。

「ディヴァインシールド!」

避けるのではなく受け止めることを選択した俺は魔法で障壁を作る。

もしも受け止めなければ周囲への被害が大きすぎる。そう判断した結果だ。

障壁に当たったブレスは力を失い消えていく。

無事障壁により全てを受け止めきる。周囲への被害は最小限にとどめられた

「こちらからもお返しだ! ディヴァインバースト!」

剣を横に構え、相手へ向ける。

剣先から神々しさすら感じる閃光が放たれ敵に直撃する。

「グォォォォォッ……」

体の一部が持っていかれたドラゴンの悲痛な叫びが響き渡る。

しかし……

「グオオオオオォォォ!!!」

ドラゴンの体が再生していき、そしてまたその強大な魔力を放ち始める。

「伊達にSランクではないな。それでこそ戦い甲斐がある」

そう言い放ち、ドラゴンにもう一度攻撃を加えるためその懐に……


「いい加減にしろ!」

若い女性の怒号が響き渡る。

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