2章 第2話

あれから一週間が経ったが死者がこの街に来ることはなかった。何故、攻めてこないのかは分からないが正直ありがたい。その間ヒナガとアスガは訓練所で一日中特訓していた。いまだにレベル1なのがあれだが結構な数を倒す事ができるようになっていた。


「アスガ!後ろに敵が来ているわ!」

「わかった!って、うわ!足が捕まれた!」

「早く振りほどきなさい!」


足を振りほどこうとするが他の敵が突っ込んできた大勢で来たためギュウギュウと詰められ埋もれてしまうこうして時間がきて映像は消える。


「埋もれ死ぬかと思ったよ」

「まだまだね、そう言う私もだけど」


2人は一旦休憩をしてから再開しようと決める。2人が休憩をしている時に扉が開かれた。2人はそこに振り向いてみるとミツルさん達がが入ってきた。


「やあ2人とも、お邪魔するよ」

「頑張っている見たいね、私達も今から使わせて貰うわよ」


ミツルさんとアリサ先輩以外にもラン、レイ、ナナ、アスナがいた。4人がヒナガとアスガに挨拶をしたので2人も挨拶をする。黒い影の戦いで街を守る協力をしてくれた4人をアリサ先輩がヒナガとアスガに紹介して以来、お互いに信頼を深めて言った。皆もこれから死者と戦うために訓練をしている見たいだけど今、ヒナガとアスガが使っている所を見て皆もここを訪れては毎日訓練をしていた。


皆はヒナガとアスガと違って身体能力は高くない死者と戦えたのは武器の性能のお陰がほとんどだ。なので体を鍛えることでより戦いに特化させようと日々訓練を行っている。アリサは今度はどんな訓練をするかパソコンを操作しながら考えていた。


「なにか良さそうなのはないかしら」

「あまり無理そうな物は選ばないでくれよ」


ミツルはアリサがなにかとんでもないのを選ぶときがあったので大丈夫なのだろうか心配になってくる。別に怪我などはしないような仕組みになっているがなんと言うか心臓に悪いのだ。鉄のボールが飛んできたり、針が地面から飛び出してきたり無数の隕石が降りだしたりと様々な体験をした。正直いってこれは訓練と言えるのかすら怪しい。


「決めたわ!今日はこれね」


すると周りはグランドに変わり白い線がぐるりと円を描かれている。これはリレーなどを行うあれだろう。


「やっとまともな物を選んでくれたわ」


ナナが安心したような声で呟く。他の3人も安心の目でアリサを見つめていた。しかし、ヒナガとアスガはわかる、アリサ先輩の口がうっすら笑っている事を。今度は一体何を企んでいるのだろう。


「えっと、私達も参加した方がよろしいでしょうか」

「ヒナガとアスガは良いわ、2人がいたら勝負にならないから、その代わり、私達のタイムを計ってくれる」

「分かりました、······所で次は何を企んでいるんですか?」


アスガはジトリとアリサ先輩を見つめる。アリサは「見てのお楽しみ」と言ってミツルさん達の所まで移動する。アリサ先輩達がいつでも走れる用意をする。合図はヒナガで、タイムはアスガとして準備は整った。


「用意はよろしいでしょうか」


アリサ先輩達は頷く、ヒナガはピストルを上に向け。


「位置について、よーい」


パン!っとなりその合図と共にアリサ先輩達は走り出した。走り出してから20秒でレイが一番に追い付いていた。


「どうよ、これなら行けるわ」


レイが一番トップが嬉しいのかそのままゴールまで突き進むがそこでレイが異変に気づく。さっきから後ろからドシン!ドシン!と言う音が聞こえてそれが気になり後ろを振り向く。するとそこにはミノタウルスがこちらに向かって近づいてくる。レイがそれを見て悲鳴をあげる。


「いやーーーーーーーーーーー!!」


ヒナガとアスガは突然の悲鳴に驚く。一体どうしたと言うのだろうか。


「どうしたんですか!!」


アスガは何かあったのか大声で聞こうとするがレイは聞こえてないのか先程から後ろを見て何かに怯えながら逃げているように見える。ヒナガとアスガはとくに何もおかしな所はないように見える。他のアリサ先輩以外ミツルさん達もレイの悲鳴に驚いているようだが一体何が起こっているのかは知らないようだ。一方、レイはと言うとゴールまで来たところでそのまま通り過ぎてそのままグランドをもう一週しようとしていた。


「レイさん!!もうゴールしましたよ!!」

「いやーーーーーーーーーーー!!」


駄目だ全く聞こえてない。他の皆はゴールした後こちらに近づき一体何があったのか聞いてくる。ヒナガとアスガは全く知らないと伝える。ヒナガとアスガはアリサ先輩の方へ振り向く、アリサ先輩がこの訓練を選んだ張本人だ。なら、なにか知っている筈だ。


「あれは走っている本人しか見えないような仕組みになっていてレイは今、その何かに追われているのよ。まあ、一体レイは何を見ているのか私達には分からないけど」

「私達はなんとも無かったが?」

「全員に設定しても良かったけど、今回はランダムで当たるようにしたから結果、レイに当たったってことね」


ヒナガとアスガはギロリと睨み付ける。この人にはどうやら罰を与えなければいけないようだ。時間が10分経つとレイは解放されたのか地面に倒れる。


「死ぬかと思ったーー!」

「だ、大丈夫?」


ナナが心配しながらレイに聞いてみる。レイは大丈夫に見える?と言う仕草をする。アリサはニコニコしながらこちらに近づく。


「どうやらお疲れのようね、ご苦労様」


レイはアリサを睨むが怒る元気はない。誰か私の代わりにこの人に罰を与えてくれ。


「さあ、この調子でどんどん訓練をしましょう」


ガシリとアリサの両肩を掴む人がいた。アリサはそちらに振り向くとヒナガとアスガがニコニコと笑いながら、アリサから見れば笑っていないがこちらを見て口を開く。


「アリサ先輩?何か言い残すことはありますか」

「ちょ、ちょっと何を急に」

「ないなら、始めましょう」


アリサは2人が一体何をしようとしているのか分からないがこれは間違いなく怒っている。アリサは冷や汗をかきながら謝る。


「謝る人が間違っていますよ」

「まあ、謝ったとしても、罰を受けさせて貰います」


罰と聞いてみるみると顔が青ざめる。まさかまた、あの料理を食べさせられるのか。


「今度の罰は既に決めています」

「さあ、あの丸い白いわくの線にたってください」

「わ、分かったわ」


言われた通りに丸い線に立つ。


◆◆◆◆◆


「ひい!」


アリサは炎の玉を避ける。避けたと思ったら次は後ろから氷の玉が飛んできた。アリサはそれもギリギリ避ける。


「さあ、どんどんいきますよ」

「円上の外には気を付けてくださいね」

「ふ、2人とも、いくらなんでもこれは無いわよ」


アリサは今、円上以外の外は海に変わっていてそこにはサメが泳いでいた。サメはアリサを見つめてまだかと待ち構えていた。いくら映像だとしても怖いものは怖い。怪我などはしないけど痛みなどは感じるのだろうか?まだ試したことないけど絶対に試す勇気もない。それに一番怖いのはヒナガとアスガだ、ヒナガは炎を、アスガは氷を玉にしてこちらに向けて攻撃をしてくる。あれは、当たると間違いなく死ぬ。


「ねえ、私を殺す気なの!」

「安心してください、私達も訓練の結果でだいぶ力の制御ができるようになったから」

「手加減はしていますので大怪我をする程度なので問題はありません」


大怪我って問題あるに決まっているじゃあないか。それを言う前にヒナガとアスガは次々と攻撃をしてくる。


「ミツル先輩ーー、助けて!!」

「自業自得だ」


ミツルはそう言ってラン、レイ、ナナ、アスナと一緒に訓練所から出ていく。こうして一時間に及ぶ罰を受けるアリサだった。

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