SFと呼ばれた時代には
夢心地
第1話
土は枯れ、時折乱暴に吹く風に、黄砂が舞う。厚い雲の合間から覗く強い日差しが、太陽との距離を感じさせた。
丘の上のか細い樹木は取るに足らない葉を誇らしげに揺らす。
コンクリートがむき出しになり、骨組みが見え隠れする住居に、継ぎ接ぎの木造屋台が傾きうめきを上げる、廃墟同然の街並み。
それでも、希望を信じて、人々は前を向き笑顔を忘れなかった。
「逃げろー」
叫ぶ男の声でその場は騒然とした。太陽が真上に上る白昼の出来事だった。昼食を用意しようと鍋を火にかけるものも、スープを口に運ぼうとするものも、一斉に手を止め逃げ道を探した。
地鳴りは次第に大きくなってくる。
悲鳴とともに血相を変えた人々が逃げ惑う。舞う土ぼこりの中、愛するものを見失い、名前を叫びながら逆流するものがいれば、子供を抱きあげ、天に祈りを捧げるものもいた。
ひしめく鼓動は、大きく早まるのを誰しもが感じた。
恐怖は慣れることはなく、たび重ねるごとに人間の本能を浮き彫りにさせる。
響き渡る、警報が恐怖を増長させた。
パニックとは、こういう状況を言うのだろう。
エイリアンの出没、吊るしたたこのように細長い容姿で、表皮はタコのような凸凹と弾力性、ぬめり感があった。ただタコの違うのは計5本ある手足に蟹のような3つの関節があった。全長10メートルほどある体をカクカクと鋭利な足先を器用に動かして地を突きさして前進した。突き刺した足から響く振動から重量感が伝わる。
頭部はなく、胴体に目と思わしき黒と、角度によって覗かせる白の球体が3つ埋め込まれていた。
不気味というほど傍観的でいられず、驚愕するほど、珍しいエイリアンではなかった。もっと言えば、これ以上に気味の悪い容姿のエイリアンが出たこともあった。
その奇妙なエイリアンは街に侵入し獲物を探しもとめるように、街を物色した。
そこに屋根の上を飛び跳ね宙を舞う、鷹でも猿でもない、忍者もしくは パルクールを思わす軽快で力強さを持ち合わすフットワークで、2人の青年が反撃を開始した。
その瞬間、人々は安堵のいろを覗かせる。
2人は慣れた戦法で交互に爆風を打ち込むと、右往左往に飛び回り、息の合った素早いコンビネーションで、全長10メートルのエイリアンを瞬く間に討伐した。
あんなに恐ろしエイリアンを前に怯む事もてこずる事もなくごくごく自然に倒してさしまった。涼しさを残し物足りなさすら感じた。
二人の羽織る革製のジャケットの胸元には勲章が光っていた。
時は西暦25✖️✖︎年。
地球は核戦争を繰り返し、人間とAIによる抗争を経て資源がつき、放射能にまみれた。ほとんどの国が消滅し、そこへ拍車をかけて惑星の衝突とそれに合わせて地球外生命体の侵入により人類は一挙に激減した。太陽系から外れたその惑星には地球上過去未来、生息が有り得ない生命が存在した。そしてこれによって時代が約1000年巻き戻ってしまった。
近未来テクノロジーを持ち合わせても、現状回復はほど遠かった。
そのはず、積み重ねたテクノロジーも物資不足で役に立たない上、地球外生命体を前に法律は役にたたず、NASAや国際宇宙機関が機能していなかった。
生き残った人々で街を作り、新しい国を建国した。
そして、国の発展を願い政府と一部の富裕層によって自衛のための特殊軍隊を設立した。その名もExtraterrestrial life Agains軍 略してEA軍。
武力に、知力はもちろんテレパシストを育てるべく幼少期の教育プログラムに取り入れ、中等学校卒業後は3年兵役期間が義務化された。その後の進路は5割の希望者が正式にEA軍に入隊するのだ。
そして兵役中で毎年0.5パーセントの選ばれしハイスペックな人材が最先端の技術と教育を受けることのできるEA特進大学に進める。
地球外生命体との共存もしくは征服この軍野良目的だった。
この学校を卒業すると、左官クラスからスタートし、将官クラスが約束される。
このEA軍は国の最も名誉ある地位であり、将官クラスに至ってはヒーローと崇められた。子供は一度は憧れる職業だった。
一言に武力といってもこの時代は鉄が十分ではなくて、高度な武器はほとんどなかった。
その代わり幼少期から国の特殊訓練により波動という空気砲が掌からだせた。
個人差はあるが大尉クラスともなれば殺傷能力も十分にあった。
また、テレパシストは、人の心理を読み解いたり心理的誘導に長けていてこれも訓練によって器具を使わず相手に意思を伝えるたり読み取ったりする能力を身につけられた。
国は地球外生命体を3種類に分けた。
意思疎通を試みようとする高知能生命体、知能型。会話の意思はなく危害を及ぼす生命体、攻撃型。著しく知力が低く攻撃性のない生命体、無害型。
また、それぞれ危険度がAからEまでがレベル化されAになる程危険度が高い。A-攻撃型の襲来は国家滅亡危機を意味した。
すべて地球外生命体にも対応するべく、教育プログラムに取り入れられた。
そして入隊すると、
対攻撃型に最前線にたつ武力班。
知能型に対応すべくテレパ班。
前線の救命救急にあたる看護班。
そして地球外生命体の研究、究明にあたる、調査班。
主にこの四班に配属される。
地球人はみな産まれた時にマイクロチップを手の甲に打ち込むとともに地球外ウィルスの感染を防ぐワクチンが義務化れた。その為、容姿にとらわれず地球外生命体との区別は難しくない時代だった。
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