ねえ、ねえ、ねえ
まほろば
みてる
ねえ、みてるよ。
今日の朝、あなたは随分と遅いお目覚めだったね。
知ってるよ。昨日嫌な事があったから、夢見が悪かったんだね。うんうん、知ってるよ。
朝ごはん、美味しそうだね。でも、食べるのは随分と遅いみたいだけど。うんうん、知ってるよ。朝、苦手だもんね。
トイレに行ったら、歯を磨いてお化粧をして仕事に行くんでしょ?
知ってるよ、だってずっと見てるからね。しってるよ。
ねえ、見てるよ。
職場のあなたは、随分とつまらなさそうだね。
知ってるよ。あそこに、嫌な人がいるんでしょ。うんうん、知ってるよ。
ねえ、殺してきてあげようか? 僕は君がだーい好きだから、君の為に彼を殺してきてあげようか?
あ、あそこ。君がひそかに恋焦がれている人がいるね。うんうん、知ってるよ。だってずーっと君を見ているからね。
――ねえ、あのヒト嫌い。だから、殺しても良いでしょ? ねえ、聞いてる?
ねえ、見てるよ。
あなたは仕事が終わったら、電車を使って家に帰るんでしょ。
あ、君が持ってるその本、ついこの間最新巻が発売されたね。知ってるよ。
電車を降りて、あなたは決まってスーパーに行くんだよね。うんうん、知ってるよ。
いつものお弁当と、お惣菜とサラダ。君はもうちょっと、健康に気を使った方が良いと思うんだ。
買い物を済ませて、後は帰るだけだね。夜道は暗いから、僕が付いていてあげるよ。うんうん、僕に任せて。ずっと、ずぅっと君を見てるからね。
ねえ、見てるよ。
君が一人寂しくご飯を食べている時も。
君がネットで動画を見ている時も。
君がお風呂に入っている時も。
君が布団の中でスマホを弄っている時も。
君が眠る瞬間まで、僕は君の傍にいて、君を見てるよ。
ねえ、君はいつになったら僕に気付いてくれるんだい?
ねえ。
ねえ、ねえ、ねえ まほろば @ich5da1huku
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