第2話 アライグマのいたずら
あばれん坊のアライグマが、こんもりした丘の上からお月さまに石をぶつけてきました。
「いたい、いたいよぉ」
コブを作って泣いているので、きつねがアライグマを見つけて追いかけました。
「こら、なんてことをするんだ」
アライグマは、あかんべーをすると、森の中を駆けていきました。やぶを越え、花畑をよこぎり、小川をとび、柿の木の下まで一生懸命に逃げました。きつねはあとを追いかけます。やぶを越え、花畑をよこぎり、小川をとびました。柿の木の下を、アライグマがいま抜けようとしたときに、人間のかけたワナにかかって、がきっと足がとらえられてしまいました。
「わあ、いたい!」
アライグマは、おどろいてあばれましたが、ワナは足からとれません。
きつねはアライグマの足がワナにかかったのをみて、
「お月さまにいたずらしたむくいだよ」
と言って、コツンとアライグマをなぐりました。気がつくと柿の木から、落ち葉がひとつおっこちてきました。かさこそ、風が鳴りました。
「いたずらしないよ、もうしない。だから、ワナをなんとかして」
アライグマは、泣きながら言いました。
遠くでは、お月さまが、黄色い目をきろきろさせて、こぶをなでています。
「わたしのあげたメダルを使えば、なんとかなるかもしれないよ」
お月さまからもらったメダルを、ワナにはめてみました。すると、ワナがかちり、と開きました。
アライグマは立ち上がるなり、頭の上を見てあっかんべーとむき出します。きつねが再びコツンとやりました。お月さまは、いまは笑っています。
アライグマは、家へ帰るとからだじゅうが痛んで、熱が出たそうです。
お医者さまがやってきたのを見て、おしゃべりコマドリが歌に乗せて、うわさしました。
きつねが、「面倒をかけるなあ」と言いながら、おみまいに行きました。朝になっていました。森が薄白色になったとき、アライグマは熱がさめて、元気になり、冬のいい空気をすいに行くためにきつねといっしょに、あなぐらから出てきました。すると、どこかで見覚えのあるうさぎさんが、向こうから歩いてきました。
「おかげんはどうですか? きのうはたいへんでしたね」
と、うさぎさんはいいました。
だれかなとアライグマはいいました。きつねは肩をすくめて家に帰りました。
メダルがキラリと光って、テーブルの上で露をしたたらせていました。
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