第3話 七人のサモナー(俺自身は数に入ってない)
「オリエよ、そなたを我が一族から追放する。
「あんまりでござる! 誰が『アーススライム』は忍にふさわしくないと決めたのでござるか!?」
ニンジャ
「カチュア、ごめんね。何とかパーティーに残してあげたかったんだけど、召喚獣が『シャインスライム』じゃ、ほかのみんなを説得できなかったのよ」
「……仕方ない」
足元に白色のスライムを連れた、鋼鉄の
「お前は追放だキャサリン。今まではその性格の悪さにも目をつぶってきたが、よりにもよってスライムしか召喚できない
「ヲーッホッホッホ! ふざけたことをおっしゃらないでくださる!? この貴重な『ゴールドスライム』である『ソレイユ』の価値を理解できない愚物どもの仲間でいることなど、あたくしの方から願い下げですわ!!」
かなりの長身でボン、キュッ、ボンって感じでメリハリが凄い体型に薄手のドレスをまとい背中には長弓と矢筒を背負っていて、縦ロールの金髪と碧眼で彫りの深い顔の美女が、金色のスライムを手にして高笑いしていた。
「なあ、クミコ、本当にすまないと思っているんだが、これ以上黒魔法の使い手は必要ないんだ。それに『ダークスライム』なんて不気味な召喚獣がついてきちまったんで、ほかの連中も怖がっていてな……わかってくれよ、頼む!」
「いや……
ウェーブのかかった長い黒髪の上に黒い三角帽子をかぶり、黒いローブを着込み、手にはねじくれた形の木の杖を持つという典型的な
目の前で繰り広げられている、どこかで見たような光景の連発に、俺は思わずアイナたちに向かって尋ねていた。
「なあ、思った以上にスライム
「いえ、これは明らかに異常よ」
「ともかく、彼女たちにも声をかけてみよう」
「わかりましたですぅ」
先ほど仲間に加えたばかりのウェルチも一緒に、俺たちは手分けして四人のスライム
そして、同じ「想い」を共有することがわかった俺たちは、パーティーを組むことにしたんだ。
そこで、互いに軽く自己紹介したあと「冒険者ギルド」に行ってパーティー結成の申請をすると、さっそく近場のモンスターの討伐依頼を確認して、生息場所まで狩りに来たわけだが……
「必殺必中、『サンライズショット』!」
ゴージャス美女のキャサリンが長弓を引き絞って、かなりの高角度で放った矢は、そのスキル名「サンライズショット」を体現するかのように
バシィ!
左耳に聞こえる衝撃音と同時にオーク・メイジの頭部に光が舞い、その体に数字が表示される。あれはオーク・メイジの頭部に攻撃が当たったことを示しているんだ。数字は敵に与えたダメージの値だ。
これは、もちろん実際に音や光や数字が出ているわけじゃない。俺の左目から左耳にかけて装備された
そのダメージエフェクトが表示されると同時に、オーク・メイジの上に表示されていた体力を示す「
この
「ヲーッホッホッホッホ! わたくしの弓の実力、ご覧になりまして!?」
「さすがだぜキャシー!」
俺は即座にキャサリンを褒め称えた。元
そんなことを思っていたら、次の攻撃の声が聞こえてきた。
「忍法『
ニンジャ装束の少女オリエが、その場で竜巻のように体軸を中心にして高速回転しながら手から「十字手裏剣」と呼ばれる十字型で平べったい形の特殊な投げナイフを何枚も放つ。この「風塵乱舞」ってのは複数の敵を狙える中距離攻撃のスキルみたいだな。
それらは、少し離れた位置にいたオークどもの群れに狙いあやまたず命中して、それぞれにダメージエフェクトが表示される。特に、先ほどキャシーの弓が当たっていたオーク・メイジのHPは既に残り四分の一を切るくらいまで減っている。
このオリエって子は、まだ十六歳なのに元は上級職である「ニンジャ」だったという、なかなか凄い経歴の持ち主だ。
ニンジャというのは、「
さっきは複数攻撃できるスキルを使っていたけど、「忍法」というスキルグループには、そのほかにも気配を消したり姿を隠したりするスキルが多くあるので奇襲戦が得意で、素早さを生かした小刀による近接戦と、さっき使っていた手裏剣による中距離戦ができる。
普通は十五歳で最初に
オリエもそういうエリートなのかと思っていたら、本人いわく代々ニンジャを輩出してきたモモチ一族の出身で「幼少期からニンジャになるために鍛えられていたので『成人の儀式』でニンジャの
ただ、モモチ一族はニンジャとしてある程度経験を積み、
それで、自己紹介のときに「アーススライムがニンジャにふさわしくないというのは偏見でござる! 拙者は何としても、このアーススライム『クレイ』を鍛え上げて、アーススライムだってニンジャの召喚獣にふさわしいことを証明して見せるでござる!!」と宣言していたんだけど、それを聞いたメンバー全員が俺も含めて拍手をしていたな。気持ちはみんな同じなんだ。
……にしてもニンジャってのは、普通は隠れたり忍んだりするのが得意なはずで、ニンジャ装束ってのもそのための服装だと思ってたんだが、なぜか彼女のニンジャ装束はド派手なピンク色で、しかもミニスカートだったりするんだよなあ。ミニスカートの方は動きやすさ優先なのかもしれないが、あのド派手なピンク色は何なんだろう?
髪の毛の方も、ツインテールって髪型は比較的よく見かけるんだけど、ピンク色なんて地毛があるとは聞いたことが無いから、あれ染めてるんだよな。青い目と白い肌で少し幼めの
それはともかく、キャシーとオリエの先制攻撃で敵オークの群には結構なダメージを与えている。特にオーク・メイジは攻撃魔法を使って来る前に何とか倒したいところだ。
そう思っていたところ、アイナが精霊魔法を放つ声が聞こえた。
「火の精霊よ、あたしに力を貸して! 『ファイヤーアロー』!!」
それと同時に、アイナが右手にかざしていた
ダメージエフェクトが表示されると同時に、オーク・メイジの残り少なかったHPバーがぐんぐんと減っていき、そのまま消えてしまう。HPの数値もゼロになっている。よし、倒したぞ!
今のところ、俺たちの新生パーティーの戦闘は順調だ。さあ、この勢いで残りの連中も倒してやろうか!
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