第2話 同病相憐れむ……って人数多くね?
「……なるほど、同じような境遇ってワケね。にしても、元
そう
要するに、俺と同じでパーティー内での立場が便利屋的だったので、一発逆転を狙って
もっとも、彼女の召喚獣である「ルージュ」は、俺のスーラみたいなノーマルスライムではなく変異種のフレアスライムだ。火属性の攻撃に対する耐性があるだけでなく火属性のブレスや魔法を撃つこともできる。とはいっても、その攻撃力が微々たるものだということに変わりはない。一般的なモンスター相手にスーラの直接攻撃が与えられるダメージが一だとしたら、ルージュの火のブレスが与えるダメージは十くらいにはなる。しかし、Cランクパーティーが相手にするようなHPが多いモンスターと戦うときは一が十であっても大差ないからだ。
そんなルージュの赤透明な体を何とはなしに見つめているアイナの瞳は、ルージュと同じような真紅だ。そして、顔立ちはかなり整っている。エリカに負けないくらいの美少女と言っていいだろう。目つきや表情からすると強気そうな性格っぽい。鮮やかに赤い髪の色とあいまって、かなり活動的な印象を受ける。もっとも、服装のせいもあるかもしれない。精霊との交流には肌での触れあいが有効だからか、彼女はノースリーブの上着にホットパンツという露出の多い服装をしており、防具は革製の
「何見てるのよ?」
「あ、いや、
俺の視線に気付いたアイナに詰問されたので、慌てて言いわけをする。精霊は純金以外の金属を嫌うから
「鉄の装備に変えたりしたら精霊魔法が使えなくなるでしょ。魔法以外にも精霊にはいろいろ頼みごともできるのよ。せっかく元
「ああ、なるほどね」
そう言われると納得だ。
「それで、同病相憐れむ立場はわかったけど、あなたはこれからどうするつもりなの?」
そうアイナに問われて、俺はキッパリと答えた。
「何としてもAランクに成り上がって、俺を追放した連中を見返してやる!」
それを聞いたアイナはニヤリと笑うと、俺に向けて右手を差し出してきた。
「あたしも同じよ。どう、一緒に組んであいつらを見返してやらない?」
「乗った!」
俺も右手を差し出して、その手を取ると力強く握手をした。実のところ、スライムしか召喚できない
だけど、そんなこと以上に、俺たちは一緒に戦っていく共通の
だから、俺はアイナと組むことにした。この動機を持ち続ける限り、俺たちは前に進めるはずだから……まあ、彼女が美少女だったという理由も否定はしないけどな。
「それで、これからどうするの?」
「もっと仲間が欲しいところだけど、どうするかな? 同じような境遇のヤツがいたら誘いたいところだけど、スライム
アイナの問いに、そう答えようとした俺だったが、すぐ後ろの方から俺の言葉を否定する会話が聞こえてきたので、思わずそちらを振り返ってしまった。
「残念だけど、何度言われてもこれは決定事項よ、イリス。あなたの居場所はもう私たちのパーティーには無いの」
「そんなにスライムはダメか!? ボクの剣術の
そうパーティーリーダーらしい
「……意外にいるものね」
「ああ」
呆れたように言うアイナにうなずきながら、俺はそちらの様子をうかがっていた。イリスという名前の、元
その場に呆然と立ちつくしているイリス。落ち込んだ表情を見せているが、ショートカットの緑髪に切れ長の緑眼で中性的な顔立ちの、かなりの
「なあ、君、俺たちと一緒にパーティーを組まないか?」
「え?」
急に俺に声をかけられて驚くイリスに、俺たちは今までの経緯を説明した。
「そういうことなら、喜んで!」
固く握手を交わすイリスと俺たち。さあ、これでかなり戦えるようになってきたぞ。
「あと、白魔法の使い手は欲しいわよね」
「あれ、君たちは回復魔法を使えるんだよね?」
そう言うアイナに、イリスが不思議そうに尋ねたので、俺が理由を答える。
「俺たちは回復専業じゃないからな。戦闘中に回復と支援に専念してくれるメンバーがいる方が安心できるだろう?」
「それは確かにそうだね」
イリスも納得してくれたから、次は白魔法の使い手を探そう。とは言っても、今度こそスライム
「どうしても追放なんですぅ?」
「悪いな、ウェルチ。ウチには既に『
足元に青透明のスライムを連れた、修道服姿で青髪青目の小柄な少女が涙目になってうなだれているのを見て、俺たちはそちらに足を向けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます