救いようのないラブコメを!

うすしおポテト

第1話 笑わないあの子

「忍君、あなたが好き、付き合ってあげてもいいわよ」


学校でも絶大な人気を誇る、我がクラスの

アイドル

南下 香恋さんに、夕日がが照らすあの教室で告白された

黒髪ロングで、普段の少し鋭い目つきも今日だけは、少しうつむき

自信なさげに少し下を向いて、顔が赤く染まっている

体付きは、しっかりとしていて胸は大きいと反則級のコンボである


「…で、どうなのよ、なんとか言いなさいよ」


僕は少し呆然としていたが、嬉しい反面罪悪感を覚えていた

この問に対する答えは決まっているからだ


「ごめんなさい」


殆どのアニメならここでハッピーエンドなのだが、この作品はそうはならない


「っ!」


顔が少しずつ暗くなる


「…理由を聞かせて」


「他に好きな子が居るんだ」


「そう...なら簡単な話ね!」


彼女は僕に指を指し高らかに、こう宣言した


「私の事を好きになって貰うわ!」


そう言い残すと彼女は教室を出て行ってしまった


「学校行きたくないよ〜」


朝食を食べながら僕の妹、秋へと愚痴を

こぼす


「何言ってるの!お兄ちゃんには働いてしっかり私を養って貰わないと困るよ!」


「しっかりしてるように見せかけて、

お兄ちゃんのすねをかじるのは辞めなさい」


「てへ☆」


「あざといわ」


これで可愛いんだからずるいよなぁ


「でもでも、ゴミいちゃん明日は祝日だよ

後一日頑張れ!」


「君は何か一つ汚さないと会話できない生物か何か?」


言い終わると食べ終えた食器を片ずけ始める


「ごちそさん」 「ごちそうさまでした」


部屋に戻り準備を整え家を出る準備をする


「行ってきます」


「ほ〜い、行ってらしゃい!」


一足先に家を出る


「今日も寒いな」


学校へと歩き出す

高校が始まって早2ヶ月、クラスも段々と

落ち着き始め、慣れてきた頃だ

周りの景色を眺めながら昨日の出来事を

思い出す

告白された、人生で初めての事だ

昨日何度も思い出しては、嬉しさと申し訳

無さで心が一杯になった

そうして、今も未練がましくその事につ

いて考えてしまう


「あんな可愛い子の告白断るとかも〜」


盛大にため息を吐く

今、僕には好きな人が居る

脈はない、頑張って話掛けてもツンツン

していてあまりいい関係とは言えない

それでも僕は彼女を諦めきれないくらい

好きなのだ、あの時から


「おはよう、朝から元気ないね〜」


自然とした感じで後ろから声を掛けられ

横に並ぶ


「おはよう、そうなんだよ聞いてくれ


『なほ』 菜穂」


ここで、ありのまま起こった話をするのは

まずい


「ギャルゲーで一人好きな子がいるん

だがそれ以外の子から告白されたけど

どうすればいいと思う?」


「とりあえず、リアルに目を向けた方が

私はいいと思うよ」


そう言っていつもの呆れ顔をこちらに

向けてくる


「そうか、ありがとう」


普通にこんな質問されたら、キモいとか

頭おかしい奴で終了なのに

やっぱいい奴だなあと改めて思う


「二人ともおはよう」


「おはよう、『そうた』相太」


「おはよう、相太君」


いつもの顔ぶれが揃い始める


「忍、今日お前顔色が少し悪くないか?」


「やっぱお前もそう思うか。少し考えごとをしててさ」


「女子の髪型の事か?俺はポニテが好きだ」


「ちげえよ、もうちょい真面目な事だ」


「もう、相太君そうゆう事言わなければ女

子から絶対モテるのなあ」


不思議とこいつは勉強できるし、

イケメンだしな

全てのスペックをロストするのが得意な

フレンズなのだ


「そうか?それは流石にないと思うぞ」


「少しは自覚してくれ、じゃないとお前との友人関係に憎しみでヒビが入ってしまいそうだ」


「お前には言われたくないな、なあ菜穂」


「そうだね、確かに忍君がそれを言うのは納

得いかない」


頰を膨らませ、不満をあらわにする


「ほら見ろ」


「何でだよ!」


そして二人顔を見合わせため息を吐きそ、のまま歩き続ける


教室に入ると、いつも通りざわついていて

俺たちが入ると

みんな知り合いと軽く挨拶して隅っこの方の席に三人で座る


クラスを見渡すといつも物静かに本を読んでいる、彼女が目につく

ポニーテールで、髪を肩あたりまで流し

背筋を正し、本への集中力と比例して周りのガヤガヤとは対照的な神秘的なオーラを発している

オンラインゲームのレベル高いやつに見られるあれだ


「やっぱ難易度高いな〜」


こんな小さな一人語は、クラスのガヤガヤ

にかき消される


「にしても今日はやけにうるさいなぁ」


周りを見渡してみると、香恋の所に居る

人がいつもより多く、盛り上がっている

様だ

やばい…昨日のことかな…

するとスタスタとこちらに向かって来て

机の前に一人歩いてきた


「おはよう、忍君!」


いきなりアニメのヒロインのような

甘い声で挨拶され驚く


「うおっ!?」


驚き思わず声をあげてしまう

顔を上げ相手を見ると更に驚く


「おっ、おはよう…」


何とそこには普段ツンツンした印象

とは違い

顔はニコニコ、手を後ろに組み優しく

笑いかける香恋の姿をがあった


「えっと昨日はごめん」


「いいわよ、気にしないで

私を好きになるまでの時間の問題だしね!」


可愛らしくウインクする

この発言と動作のお陰でクラスの殆どの

目線が集まる

周りの目が怖い…


「香恋さん、昨日までとのキャラ違くない?」


「当たり前じゃない!」


胸を張り、恥ずかしさなんて微塵もない

そんな風に言い切る


「私はあなたに好かれたいから

全力であなた好みの女になってるの!」


みんながこっちをみて驚いている

まあそうだろう、今までの彼女なら絶対に

そんな事を言わないのだから

いや、こんな恥ずかしいいセリフは誰が言っても驚くな


「OH ...」


どうなってんのこれ、嬉しいけどもさ


「ちなみに髪はどんなのが好き?」


「えっと、ショート」


「分かった、ありがとう」


まさか明日からそれに変わってるとか

ないよね?


「それでさ、今回の交流学習の班一緒に

ならない?」


この学校では、クラスの結束力を上げる

とかで一泊二日で様々なイベント

をする、地獄の様なパリピイベントが

あるのだ


その中で、料理や宿泊する際の班わけ

が有るのだが、それにお誘い頂いたのだ


「ああ、喜んで...」


「よし、じゃあ決まり!」


「う、うん」


後ろで手を軽く組み、いかにも嬉しそうな顔で笑いかけてくる

怖過ぎだろ!?

あれかな、最後にな訳ね〜だろ、立場わきまえろてきな感じで、嵌められたりしないよな?


「じゃあ、そろそろチャイムなるから席

行くね、またお昼に」


笑いながら軽く手を振って周囲の目を

集めながら戻って行く


「お前らなんかあった?」


後ろから、はじめが顔を覗き込んでくる


「 べっ、別に何も」


思わず顔を逸らす


「嘘つけ!」


流石にこれはどっかの超能力者が集まる

どっかの団をリアルで見つけるレベルで

無理があるな、

俺でもこれは何かあったって思うわ


「おらぁ!大人しくはけや!」


「ちょ、ストップ!ストップ!お前まで

キャラぶれ始めてんじゃねーか」


首に手を回され、身動きが取れなくなる


「あらあら君達〜

朝からラブラブですなぁ」


ニヤニヤしながらこっちに近付いてくる

殴りたいこの笑顔


「志乃お前見てないで速く助けろ!」


「男の子同士のスキンシップを

邪魔をするなんて!私には出来ない!」


ご丁寧にわざと演劇の様な大きな振りを

付けてくる


「これはスキンシップじゃねえ!

脅迫って言うんだ!」



「まあ、そこまで言いたく無いなら、

今はいいさ」


そう言うと俺は腕から解放された


それと同時に教室のドアが開く


「お前ら席座れ〜」


このクラス名物の合法ロリ先生である

背は中学生女子くらいで、顔立ちは

どこか男ぽく、髪は首より少し長く髪質

を見るに

あまり手入れがされていないのが分かる


一部の危ない系(周りから見ると俺を含む)の生徒から、凄く人気があるらしい


さっきの俺の席の事について話し合っていた

人達も、「じゃあまた」と席に戻って行く


「お前らも知ってると思うが、そろそろ交流学習がある 一つのグループは6人、男女の比は問わないが、まあどうせなら後悔しない

様に青春しとけ」


「ちなみに新ためて日程を確認すると

二泊三日でイベントとしては

付近の散策、キャンプファイアー

などなど、いかにもな企画を予定している


何か質問は...

無いようならでこれで終わるが」


男子生徒の一人が席を立つ


「はい!先生はいつ結婚するんですか?」


「評定下げるぞ」


「すいませんでした!」


クラスに軽く笑いが起きる


「いない様なのでこれでホームルームは

終わりだ、今日も一日頑張れよ〜」


そう言い残すとクラスから出て行って

しまった





































  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る