Lo〇をプレイしてみたら修羅の世界だった(体験談)

@sy0602

第1話 はじめてのLo〇だったが………

 俺はゲーム好きの大学生だ。好きと言っても、オタク程そのゲームを詳しく知っている訳でもない。どんなゲームも有名プレイヤーを覚えるほどではない。ゲームの会話でも有名プレイヤーの話をされたら、余程そのプレイヤーが有名でなければわからないくらいだ。


「最近、家庭用ゲーム出たけど、ラグが酷くて格下と戦っても勝敗が怪しいんだよね………」

「それな………」

「昨日なんてだ! 俺がコンボ中の時だけラグったんだぜ!!」

「ラグスイッチは本当にあるからな………」

「仕方なかったんだが、コンボ途中でやめてハメたわ」

「正々堂々戦うお前が補正切りか? 精神的に来てんだな………」


 家庭用のゲーム機では、ラグが多かった。どれだけ実力があっても、ラグプレイヤーはラグを感じない。相手側だけハンデを背負うことになる。


「俺さ………このゲームやめるわ………」


 そう言って、ゲームを辞めてしまってから俺は前々から気になっていたゲームへと手を出した。それがLo〇である。大会賞金は世界最高金額で5億。だが、このLo〇は5vs5で5億まるまるもらえる訳ではない。それでも最高金額であることに変わりはない。


「ノートパソコンしかないからノートでやってみるしかないな………どれどれっと」


 俺はLo〇をはじめる前に情報収集をした。調べればわかる通り、Lo〇は暴言が酷く、初心者には厳しい。


「争いを好まない俺だったが、生まれた親、環境がよくなかった。今でもどこかで戦いを求めている俺がいる。穏やかな俺でいられるのかどうか………」


 などと中二病的なことを考えながらも少し予防対策にサモナーネーム(SN)を女性にした。SNとは、プレイヤーの名前だ。


「とりあえず、まずはチュートリアルだな。」


 この頃のチュートリアルはチャンピオンがアッシュでフィールドはハウリングアビスだ。アナウンスに従ってチュートリアルを進めていく。しかし、ここで問題が起こってしまった。


「ちょ!!? う、うごかねぇ!!!」


 どうやら俺のノートパソコンではLo〇のチュートリアルもできないようだ。大学で課題をやるために買ったノートパソコン、その頃の俺はパソコンの知識なんてなかった。どうしてもLo〇がやりたかったので、俺は知人にパソコンのことを教えてもらいながら新しい『ノートパソコン』を買ってしまったのだ。


「スペックは最高クラスのノートパソコンだ! これでLo〇ができるぞ!!」


 俺は念願のチュートリアルを遂にクリアしたのだ。


「チュートリアルをクリアするのに新しいノートパソコンを買ってしまった。やばい、やばいぜLo〇!!」


 その後はとうとうサモナーズリフトでのチュートリアルだ。


「よし、よくわからんが二つ目のチュートリアルもやっていくぜ!!」


 だが、突然PCの画面が真っ暗になってしまった。


「な、なんだ!? 新品だぞ!!?」


 そう、この頃のノートパソコンにゲーミングパソコンは存在しなかった。そして、冷却装置も全然だ。調べてみてわかったが、熱暴走が原因だ。


「Lo〇のチュートリアル二つ目をクリアするには冷却するしかねぇ~~~~!!」


 俺は大きな保冷剤を冷蔵庫から取り出してそれをタオルに包み、ノートパソコンの下に置いたのだ。今思うと、知識がないってのは恐ろしいものだ。だが、箱入りの俺には手段が選べるほどなかった。


「どうやら、俺がLo〇をプレイできる制限時間は40分、これを超えると保冷剤が温くなっていつ熱暴走が怒るかわからない。Lo〇ってゲームはとんでもないぜ!!」


 俺は大きなハンデを抱えてLo〇のプレイヤーとなったのだ。


「聞いてくれよ!! Lo〇始めたんだけどさ!! ラグが全くないんだわ!!」

「マジ?」

「マジマジ! これで格ゲーのゴミ共とはおさらばだぜ!!」

「ラグないとか神ゲーかよ!!」

「ああ、だから、ゲームで負けてもすっきりした気分でいられるんだ。」

「最近ネットで格ゲーの言い訳10選とか、ゴミみたいなサイト作ってるやついるけど、ラグが言い訳だってよww」

「そんなサイト出来てたのww ラグプレイヤーはどれだけ威張っても実力は雑魚なのにな。」

「まぁ、俺もこの格ゲー新作来てもラグ酷かったらやめるわ」

「ああ、そのほうがいいぜ」


 俺は過去の格ゲー友と会話した後で大きな保冷剤を冷蔵庫から取り出した。ノートパソコン用のクーラ―があることは、今の俺には知る由もなかった。だが、その前に、話しておきたいことがある。そう、これは、チュートリアルを終え、AI戦にも飽き、ノーマルでのお話だ。


「とうとう俺もノーマルやっちまうぜ!!」


 マッチングが完了して5人のプレイヤーがチャンピオンを選ぶ画面に切り替わった。チャット欄ではレーンコールが始まっていた。


「sup」

「mid」

「top」


 俺には何のことだか見当もつかなかった。俺はよくわからないけどチャットした。


「よろしくお願いします(^^)」


 だが、返事は返ってこなかった。Lo〇では当たり前である。


「おいおい、返事がないぞ!? 大丈夫かこれ?」


 この時、大丈夫ではないのが味方の4人ではなく、俺だったのだ。俺は訳が分からないからチュートリアルと同様に動いた。選んだチャンピオンはアッシュ、そして、何も考えずにbotへと走っていった。ここまでは奇跡的にも正しい行動をしていた。しかし、俺にはそれが正しいのかどうかも分からなかった。


「初めてのLo〇だ………緊張する。」


 その時、ミニマップがピンピンと鳴り響いた。味方のjgがリーシュしろと叫んでいたのである。その時、俺はこう思った。


「あいつは何に襲われているんだ?」


 何をどう助けろと言っているのかわからなかったのである。だが、そのjgはめちゃくちゃ強かった。スマーフとかいうものがあるらしいが、そのjgはスマーフではない。俺と同じシーズンで初めて、たまたま一緒のチームになっただけだ。その証拠に、このjgはスマイトを持っていないのだ。ゲーム20分後に俺が思ったこと、それはこうだ。


「な、なんて強いんだマスター・〇ー(yi)!!」


 味方のyiは最早だれにも止められなかった。俺はこのyiにフレンドを送った。


「俺なんかがフレンドに選ばれるんだろうか………」


 そんなことを思っていたら、なんとフレンドになってくれたのであった。俺は心底喜んだ。


「これはきっと何かの運命だ。いつか強くなったら、俺はこの人と一緒にプレイをするんだ。」


 そう胸に誓って、レーンというものを覚えたのである。


「ダメだ。全然俺が役に立ててない。」


 俺はtopでシヴィ〇というチャンピオンを使っていた。


「ネットで調べたけど、ア〇ムってチャンピオン強すぎだろ? 本当に弱いのかよ?」


 topシヴィ〇なんてことをやっているが、暴言は今一度も言われたことがなかった。どんなに頑張っても、レーン戦が勝てない。この頃のレーン戦にはとんでもないシステムが隠れていた。それは、ルーン差である。今ではルーンが固定の様なものだが、当時のルーンはブルーエッセンスを消費して自分でセットしなければならなかった。俺のルーン設定はノールーンだ。サモナーレベルが低いとルーンすらセットできないのだ。その差はロングソード3本分。俺のオートアタックが弱すぎたのだ。そういうことを考慮すると、スマイトすら持ってないyiがルーンもなしにどうやってjgを回してキャリーまでしたのか不思議でしかない。


「だめだ。誰かに教えてもらった方がいい。『女性ユーザー』なら優しく教えてくれるだろうか?」


 そんな甘い考えを持ちながら、俺はスカ〇プで募集している所に入ったのである。


「あの、初めてなのでよかったらいろいろと教えてください。」


 この発言で周りは静まり返った。俺は何となく予想はしていた。この時代、碌な大人はいない。当然子供もそうだ。だが、このままではいけない。毒を喰らわば皿までとはよく言ったもの、俺は、レオ〇に最近はまっていた。supチャンピオンで光属性、しかも女性だ。闇よりも光属性に関心を持っていた俺には魅力的なチャンピオンだった。だが、ゲームを始めて10分後、悲劇は起きた。


「こいつトロールなんだけど!!」


 女性ユーザーが急にキレたのである。その時の俺は『トロール?』って感じだったので何を言ってるのかわからなかった。


「あの、よかったら解るように言ってくれませんか?」

「うるせぇ雑魚!!」

「………」


 よくわからなかったが、その試合は味方のtopがめちゃくちゃ強くなってて勝利した。


「これから夕食あるんで抜けます。」


 女性ユーザーがそう言って抜けた跡、俺以外が一斉に会議から抜けたのである。


「まぁ、教えてくれる人なんてなかなかいないもんね。ゴミくずしかいなかったか………」


 俺はそれでも諦めず、教えてくれる人を探し続けた。すると、要約してその人間と出会えたのだ。だが、そいつは頭が悪く、職業は製造業で、日本語も高校卒丸出しだった。


「いや、それじゃあ、何言ってるか相手には伝わりませんよ?」


 俺は内心思ったのだこいつもダメだと、ただの教えたがりで、調子に乗ってるめんどくさい人だった。だが、こんな奴でもいないよりはマシと一を知り、十を知った。そして、俺は理解した。今まで暴言吐いてきたゴールドと、キャリーしているのに暴言を言う者の差を俺はゴールドの連中に対して見方が変わった。ゴミかそうでないか、厳しい目を持ってしまったのだ。ランク10戦を終わらせていた俺はブロンズ4スタートだった。久々にスカ〇プで5人の所に行こうとしたが相手の対応が酷かったのだ。


「ブロンズ4ですけど、よかったら入れてください(ノД`)・゜・。」


 相手からの返答はなかった。俺は度重なる暴言と製造業のヤクザプレイヤーで機嫌が悪かったのだ。


「お前どうせゴールドだろ? 調子に乗ってんなよ雑魚が!!」


 そうチャットを売って挑発したのだ。相手はその挑発にまんまと乗ってくれた。なぜ、JP鯖のゴールドやシルバー、プラチナにダイヤが弱いのか、それはこの頃の俺には理解できなかった。


「ゴールドがそんなに偉いのか? お前はブロンズの俺よりも弱いのになんだその態度は?」


 俺はどうかしていたらしい。だが、ゴールドもプラチナも、ダイヤも弱い奴がいるのは事実だ。一度ゴールドやシルバーになってしまえば、ランクは下がらなくなるのだ。勿論、負け続ければシルバーからブロンズ、ゴールドからシルバーへと落ちてしまう。だが、シルバー5やゴールド5には落ちる直前に注意マークが現れる。『そろそろ負けるとシルバーになりますよ』ってね。その話はまた今度だ。相手からの返事はこうだった。


「なら、1vs1しようぜ」

「お前馬鹿か? そんなもんレーンやチャンピオンの差で決まっちまうだろうが?」

「ルールは1キルかタワーが折れるまで、それじゃあやろうぜ!!」


 相手は勝手に話を進めてきたのである。


「わかった。俺が勝ったらお前俺に通話して来な!!」


 そう言ってブロンズ4vsゴールドの戦いが始まったのである。俺は、余りチャンピオンを持ってないが、これだけはわかった。レオ〇ではキルは取れない。あまり使ったことはないが、ある程度は知っているアニ〇を選んだ。サモナスペルはイグナイトとフラッシュ、イグナイトは当時の俺にはあまり得意なスペルではなかった。ロビーには観戦者がゾクゾクと入ってくる。


「晒の場か………」


 俺はそう悟った。ゴールドの連中は民度が低いみたいだ。こういうクズを相手に俺はリアルでも戦ってきた。どうせ大したことない奴だと態度だけの奴だと、晒の場ならいつも好都合だった。クズ共からすれば効果的な方法だと思っているみたいだが、クズを狩る者からすればゴミ掃除が一度にできる。


「こいつの支配力も今日限りだな」


 俺はなぜか勝ちを確信していた。戦うことが嫌いだが、戦う相手はいつも強そうなやつだった。戦う相手を選ばせて貰ったことがない。悪人ばかりと戦ってきた。きわめて冷静だ。だが、俺はCSの概念すら知らなかった。そんな状態でも懸命に戦った。相手のチャンピオンはリヴェ〇だ。余程気に入っているのか、バニーガールの衣装を着せている。


「見た目と態度だけの猿野郎が、お前らみたいなのが多すぎて相手する俺の身にもなれってんだ。どうせ、自分よりも弱そうなやつとしか戦えないんだろ?」


 お互いのレベルが5になって相手のリヴェンがアピールばかりするようになっていた。そんな安い挑発に乗る俺ではない。相手のライフと自分のスキルしか見ていなかった。アニーのレベルが6になった。


「貰った!!」


 俺はEのシールドを発動させスタックを4にし、前フラッシュしてアルティメットスキルを発動、パッシブ効果で相手のリヴェンはスタンし、動けなくなり、ワンコンボを決めた後でイグナイトを放った。相手のリヴェンは慌ててアルティメットを発動し、俺に襲い掛かるが、時すでに遅し、相手はワンコンボも許されず、キルを落としてしまったのである。俺は相手がいなくなったのでタワーをアニ〇とティファ〇ズで殴って破壊した。リヴェ〇が慌てて戻って来た時にはタワーも破壊されており、俺もそこからすでにいなかった。俺は約束の通話を待ったが、掛けてこなかった。しびれを切らした俺がチャットした。


「約束の通話はどうしたんですか?」


 相手は通話を掛けてきたが、その声には生気が感じられなかった。もともと争いが好きでない俺は、そのプレイヤーを完膚なきまで叩く気はなかった。


「まぁ、俺本当に始めたばっかだから気にしないでくれ、チャンピオンで勝敗は決まるようなものだからね。」


 そう言って俺は通話を切った。次の日、その者はTw〇tterを自ら削除し、SNもパコ〇コと性的な名前になっていた。俺は、そんな彼に飽きれてしまった。

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