明け方の軌跡

HaやCa

第1話

 玄関を抜け、道路わきを歩いてみた。それはもう肌寒くてこれなら手袋でも持ってくるんだったと思う。

 自分でも信じられないくらい空は赤い。夜明けはもうそこにあった。

 高校に通う意味なんてあるのかな、唐突に思った。毎日同じようなことの繰り返し、なんにも変わらない。

 そうやってガードレールの上に腰かけていると、自転車にベルを鳴らされた。

 トボトボ歩きながら、じっと空を見上げた。

 空はいつも変わっていく。同じように見えても時間をかけてゆっくり。

 星空だって見える景色は違う。もし私がここにいないなら、また違ったものが見えるはず。


 もう少し歩いてみよう。

 日の出くらい見ていたい。

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明け方の軌跡 HaやCa @aiueoaiueo0098

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