第五章
第五章
「本当に信用していいもんだろうか、あの若造。」
製鉄所の玄関先で、ブッチャーと杉三は、いただいた名刺をかわるがわる見ながら、ため息をついていった。
「一応いいと思うけどね。あの老医者とは、考えも違うようだし、、、。」
二人がもらった名刺には、「赤城総合病院、医師赤城春男」と、書いてあった。
「ブッチャー、もう一回聞くが、これはあかぎとよむんだよな?」
「そうだよ杉ちゃん。もう、何回聞いたら気が済むの?もうそれ聞くの、三回目だよ。もう一回読むけど、あかぎはるお、わかった?」
「わかったよ。じゃあ、あのバカ院長と同じ苗字だよな。つまり、あのバカ院長の、」
「本人も言ってただろうが。長男さんだって。つまり、息子さんだよ。わかる?」
「うん、わかった。そういうことか。じゃあ、やっぱり信用はできん。もう、次に薬持ってきてくれるのはお断りだ!」
「はあ、、、?もう、何言ってるんだ。あれだけ散々名前を聞いて、すぐに結論を出すなんて。」
それを無視して、杉三は、そのまま車いすを進めて、製鉄所の玄関の戸を開けてしまった。
「杉ちゃん。ちょっと待て。もう結論だすのがはやすぎる。ちゃんと納得する答えを言ってから結論を出せよ。」
「だから言っただろ。院長の息子であり長男なんて、いっちばん父ちゃんの影響を受けて育ってるんだろうし。父ちゃんの頭脳のコピーに一番近いものさ。だから信用なんかできるもんかよ!」
「杉ちゃんさ、それ、すごい偏見だよ。長男とか次男とか、今の時代関係ないんじゃないの?」
「だけど、これは、ただの動物実験ではないんだよ。一人犠牲者になる人物が出るかもしれないんだぞ。しかもその犠牲者は、僕らの親友じゃんか。それを実験台にさせるなんて、絶対に認めない。」
「もう、、、。」
ブッチャーは、本当にやるせなくて、ため息をついた。でも、この時は、杉ちゃんの言葉に屈折してはいけないと思った。
「杉ちゃん!今回は杉ちゃんのほうが絶対に間違っていると思う!だから、なんとしてでも、水穂さんに薬飲んでもらって、何とかして立ち直ってもらわなければいけない!だから、一回だけ試させてもらえないだろうか。もし、水穂さんが悪くなったら、俺、杉ちゃんに金を払うよ!その代り、よくなったら、杉ちゃんも何か出してくれ!」
「金なんか要らないよ。そんな汚い取引、するもんかよ。ただどうしてもそうするんだったら、うまいカレーを食べさせろ。金よりも大事な、食べ物で払ってもらおう。」
「わかったよ!杉ちゃん。絶対杉ちゃんがびっくりするようなカレーを作ってくれる店を見つけてやる。その代り杉ちゃんも出すものを考えてくれよな!」
とはいったものの、杉三が富士市内のほとんどのカレー屋さんを渡り歩いていて、うまいカレー屋さんを知り尽くしていることを思い出した。今更、既存のカレー屋に連れて行っても、馬鹿笑いされるだけである。
あーあ、俺はやっぱり口が下手だなあ、、、。とがっかりするブッチャーだった。
「じゃあ、約束通り頼んだぞ。あの赤城っていう馬鹿医者、信用できるか、試してみるからな!」
と、杉三は、製鉄所を出ていくが、自分は金を払うよりもっと過酷な賭けをしたなあと、発言したのを後悔するブッチャーだった。
こうなったら、なんとしてでも、赤城先生に治してもらうほかにない!と気を奮い立たせるブッチャーである。
すぐに名刺に書かれている電話番号に電話を回した。
同じころ。
富士警察署では、今日も殺人事件についての捜査会議が行われていた。ちょうどこの時は、難航していた事件の被疑者がやっと自白してくれたため、一件落着となり、最終の捜査会議が開催されていたのである。
「今回の事件では、みんなよく協力してくれた。特に、被疑者が女性ということもあって、女性の捜査官の活動には特に感謝したい。あ、もちろん、特定の人物にひいきしているわけではないぞ。」
司会として、演説している華岡であったが、
「何を言っているんですかねえ。女性の活躍って、彼女はおとりになってもらって、それで活躍しただけじゃないですかあ。」
「ひいきしているわけではないと言っておきながら、美人だった彼女をあれだけ重宝していたくせに、、、。」
と、部下たちは失笑を上げている。
「とにかく、今回の事件は、女性特有の怨恨というものもあり、女性の活躍が事件解決に貢献してくれた。みんなも、彼女を見習って、しっかり捜査に励んでくれよ。」
「美人なだけなんですけどねえ。」
「大体の裏を取ったのは俺たちなのを忘れてるんだろうな。」
部下たちはやっぱりな、という顔をしながら、華岡の捜査下手さを笑っているのだった。
「これからも、模倣犯罪が発生する可能性もあるが、その時も、みんなで協力して、早急な事件解決に導けるようにしてくれ。では、終了!」
部下たちは、もうこんな長ったらしい演説聞き飽きたよ、という顔つきで、椅子から立ち上がり、会議室を後にした。
「あー、終わった終わった。よし。これから、直行だ直行!なんとしてでも、完成させなければならん!なんとも、刑事という職業上、定期的にレッスンに通えず、単発のワンレッスン制しか受講できないんだからな。事件が解決して、つかの間の休みを有効活用しなきゃ!」
と、急いでコートを着込み、ルンルン気分で会議室を出ていく華岡に、
「警視!いいものを作ってくださいね!」
先ほど、散々褒められていた美人の女性刑事が、そうからかったが、華岡は返答しないでどんどん部屋を出て行ってしまった。
「おい、なんだ、警視が、陶芸でも始めたの?も、もしかしたら年を取って、静かに山にでも隠居しようと思っているのだろうか?」
若い刑事がそう彼女に聞くと、
「いえ、違うみたいですよ。なんでも、リヤカーを作ってみたくなったそうで、職人さんのもとへ習いに通っているようなんです。」
と、彼女は答えた。
「リヤカーだって?いつも高級車ばっかり乗っている警視が、そんな中国の田舎みたいな乗り物を作りたがりますかね?」
もう一人の若い刑事がそういうと、こんな答えが返ってきた。
「はい。なんでも重い病気の親友をそれにのっけて、紅葉でも見せに連れて行くんだって、張り切っていました。」
「はあ、何を考えているんですかねえ。それなら、介護用品の店に行って、ストレッチャーでも借りてくるとか、そういうほうがよほど安全ではないでしょうか。途中で壊れたりしたら、どうするつもりなんでしょう。」
「まあ、不自由なものにあえて魅力を感じてしまうのも、警視の人間性だからな。なんか知らないけど、昔あった古いものを急に作りたくなって、習いだす癖があるんだよ。」
二人の刑事たちは、またため息をついた。
数日後。
「あーあ、やっぱりこの賭けは、俺の負けかもしれない、、、。」
ブッチャーは、水穂が赤城春男医師に、処置をしてもらっているのを眺めながら、がっかりしてそうつぶやくのだった。隣で杉三が、口笛を吹いているのが、なんだかちょっと憎たらしくて、もう!と怒りたくなるのだった。
水穂本人は赤城医師から処方された「新薬」を忘れずに服用して、時折気道にたまった血液を抜いてもらう作業をしていたが、回復するという様子は全くなく、せき込んでは内容物を出すことを繰り返すだけであった。
「これじゃあ、無理ですかねえ。いくら免疫自体を何とかといっても、何も変わらないじゃないですかねえ、、、。」
「いいえ、定着するには時間がかかりますから、もうしばらく続けさせてください。少なくとも、お二人が言う、危険な睡眠薬の使用はしないでもいいようにしますので。」
「だから、それを引き換えにして、余計に弱らせたりするもんじゃないぜ。やっぱり信用できないなあ、こいつ。」
穏やかに赤城医師がそういっても、杉三がそこへ槍を突き刺すように吐き捨てた。ブッチャーは、そんなこというもんじゃないと注意したが、ほかの患者さんにもそういわれますからと、赤城医師はにこやかに笑った。
「だけど、よくなるよくなるって言っておきながら、何にもよくならないじゃないか。いつになったら、変わってくるんだろうか!」
「あんまり、結果を急がないでください。急ぎすぎると、かえって病状を悪化させます。」
「ふーん、それがあんたらのいう、慎重ってやつか。ひたすら、苦しいのを長続きさせるだけなんじゃないのかよ。」
隣でせき込んでいる水穂を眺めながら、ブッチャーはある意味杉三の言っていることも、本当にそうだな、と感じてしまうのだった。
その時。
「おーい、水穂。いるかーい!」
能天気な声がして、華岡が入ってきた。
「最近だいぶ、涼しくなったけどさあ、まだまだ暑いときもあるよなあ。まあ、今年は冬が始まったのに、やたら暑いぜ。だけどな、警察署の裏通りを通りかかったら、銀杏並木が綺麗に黄色くなってんだよ。俺、これ見てほっとしたわあ。ああ、今年も予定通りに黄色くなってくれた。もう、ありがたくて仕方なかった。これでやっと過ごしやすい季節になるぞ。そんなわけで、たまには外へ出て、涼しい風にでもあたってさ、お散歩でもしたらどうかと思って、」
「華岡さん、そういう好意は本当にありがたいのですけど、俺たち、のんびりお散歩という気分ではありませんよ。」
華岡の長話に、ブッチャーがちょっと強く言った。
「だって、時間がたったから、ちっと楽になったかなと思ってさ。それなら、少し外へ出ていいんじゃないの?」
「バーカ!本当に、周りを見てないな。散歩どころか、座ることさえできてないだろうが。ほら、百聞は一見に如かず!見てみろ!」
杉三に怒鳴られて、華岡は改めて四畳半を見回すと、
「すみません、華岡さん。忙しいのに心配してわざわざ来てくださったのに、」
せき込みながら、何とか座ろうと試みたが、胸部の痛みのせいで、座るのに失敗した水穂の姿が見えた。彼の背を、三十代、つまり医者社会から見たらまだ若手の、ちょっと頼りなさそうな医者が、すぐに受け止めてそれを支えていた。
「すみません。」
水穂は、若い医者、つまり赤城春男に支えてもらいながら、再度布団に横になったが、横になったというより、倒れこんだというほうがふさわしかった。
「おい、薬飲んですぐねむらせてもらえるのではなかったの?」
「そうなんだけどさあ、この頼りない坊ちゃまのせいで、新しい薬試させられてさあ、今、人体実験の真っ盛りだ。いろいろ試してくれてるんだけど、いずれも効果なしだ。でも、あの危ない睡眠薬は、もう使わせたくないんだよ。飲んでもすぐに眠れるんだけどさあ、その前に、ものすごい苦しみだして、見ててつらいんだ。だから、このお坊ちゃんの力借りてさ、新しいのを探しているんだけどね、どこを探しても見つからん。もう、霧の中の蜃気楼って感じだ。」
「睡眠剤だって?おい、俺が捕まえた薬物乱用者たちから時々聞くが、精神科なんかでたまに入手できるもので、ものすごい強力な奴があるっていうんだけどな。飲むと、頭中が大嵐でもあったような感覚に陥るが、数分後には、ものすごい上等な眠りが得られるという薬物があるらしいぜ。まさかと思うのだが、それが出されたのでは?」
「おう、まさしくそれなんだよ!それだよ!飲んだらすぐ、ブラックホールにおっこちたようになるそうだ。そんなのを使われたらたまらない。だから、代理のやつを探しているんだけどさあ。ちっとも見つかんなくて困ってんのさ!」
「そうか。これは警察の人間としていうが、俺は精神科の薬なんて全く役に立たないと思う。睡眠薬にしろ、はやりの抗うつ薬にしろ、それのせいで自殺が起こったり、犯罪が起こったりする例が後を絶たん!抗うつ剤のせいで、いきなり狂暴化して、殺人を犯した善人だっているんだからな!」
「すみません、我慢できないのが申し訳なくて。」
また、せき込みながら水穂がそういったが、あんまりしゃべらないほうがいいですよ、と赤城春男がそっと止めた。
「そうですけど、俺は、咳で苦しいのを、我慢するというのもまた辛すぎるのではないかと思うのです。だから、強力なものを使ってもよいのではないかと思うのですが、、、。」
ブッチャーが、姉の看病経験から、そういう「優しい」セリフを言ったのだが、
「でもな、水穂。俺からしてみたら、いくら咳でつらいからと言っても、そういう危険な薬には手を出すべきじゃないと思う。今は、眠れるかもしれないが、それが習慣になってくると、薬は効き目を示さなくなるんだ。そうしてどんどん量が増えてって、しまいには効かないからほかの薬に、ってなってさ、お前は別の意味でつらい思いをするよ。だから、そういう危ない薬に手を出すのはやめろ。そうでなくて、もっと安全な奴、探してもらえ。」
華岡が、警察の人間らしく、もっともなことを言った。そして、水穂のやせ細った背をさすってやっている、赤城春男若手医師の顔を見て、
「あれれ?あの、どっかで見たことのある医者だと思ったんだが、、、。」
と、言いながら頭をかじる。
「なんだ、華岡さん知っていたの?」
杉三が口を挟むと、
「知っていたというか、俺が担当した事件で、被害者がよく赤城総合病院でお世話になったんだが、その時、大先生の隣にいた、若先生ではありませんか?」
と、華岡は言った。
「あの、俺のことを覚えていませんかね。ずっと前に、ある女性が通り魔に襲われて、そちらの赤城総合病院に搬送したと思うんですけど。その時、確か院長先生が彼女の治療に当たったのではありませんか?ほら、俺ですよ。その事件を捜査していた刑事の華岡です。」
ここで初めて、赤城春男も、華岡としっかり顔を合わせる。
「あ、華岡、と言いますと、華岡青洲ではなくて華岡保夫と自己紹介した、ちょっと変わった刑事さんでしょうか?」
「そうですよ!俺ですよ!おかげさまで、現在は警視です。ちょっと、太ったので、思い出していただけませんでしたか。」
ここでやっと思い出してくれたようである。
「あ、そうでしたか。すみません。彼の様子を観察するのに気を取られていて、思い出す暇がありませんでした。」
と、赤城は申し訳なさそうに挨拶した。
「ていうか、俺、太りすぎて思い出すのに時間がかかりましたかなあ。警視に昇格した後、ずいぶん太ったので、ごあいさつ回りに行ってもわかっていただけなかったようです。」
「まあ、確かに様子は変わっていますが、なんとなくわかりましたよ。」
「ま、警視まで昇進すると、自動的に運動量が減るから、誰でも必ず太ります!」
杉三が口を挟むと、ブッチャーがまた余分なことを言うな!と、彼の肘をつついた。
「しかし、今日はどうしたんですか?今頃は、診察などで、忙しいのではないですかな?」
一般的に医者であれば、そうなっている時刻である。
「ええ、まあそうなんですけどね。僕は、診察に立ち会うことはほとんどないので、こうして、病院に来られない患者さんを回っています。」
「はあ、めずらしいですな。それは、次期院長になるための修行として、お父様が命令したのですか?」
確かに、獅子は子を谷に落とすとは名言で、こういう事業者には、子供をわざと追い出して、苦労させる親はよくいるのだが、ちょっと違うようだった。
「まあ、世間ではそういいますが、事実上、僕は不用品ですよ。僕が留学している間、妹が院長になることが勝手に決められていて。きっと、病院の経営が傾いて、美人のほうが寄り付くとでも思ったんでしょう。確かに、最近は美人女医を雇って看板とする病院も少なくないですから、そうなっても仕方ありません。だから、こういう風に恵まれない患者さんを助けることを専業としようと思ってます。」
「なんだよ、病院はアパレル会社じゃないんだよ。」
また杉三が口をはさんだ。
「まあ、そうだけど、確かに病院も難しい時代ですからな。昔は絶対つぶれない企業とされましたけど、今は口コミサイトとかで、悪評を付けられれば、患者数は激減しますし、それを挽回するのは大変だと聞きます。それに、勝手に新しいところを作れる時代ですから、昔ながらの病院はぎゃくに不利ですよねえ。」
「そうでしょう。それに、健康寿命が増えたせいで、なかなか病院のお世話になる頻度が減っていますから、患者さんも減る一方なのです。」
「へん。だからと言って、グラビア路線に頼るのはちょっとまずいぞ。」
杉三がまたまた横やりを入れた。
「杉ちゃんはすぐそうやって揚げ足を取る。」
ブッチャーは、注意したが、
「でも、これを利用すれば、水穂さんだって何とかなるかもしれないな。いっそのこと、あんな古臭い父ちゃんなんて、さっさと勘当してもらってさ、こいつに、新しい医療をしてもらう。そのほうがいいな。」
また何か、変なことを考え始めた杉三であった。
いつの間にか、水穂も、咳の回数は減少して、次第に楽になってきたらしい。だんだんに顔つきが、穏やかになってきた。
「大丈夫ですか。水穂さん。」
「はい。おかげさまで、少しばかりつかえがとれてきたようです。」
「よかった。じゃあ、しばらくこれを投与してみましょうか。すぐに強力な眠気を催すことはないので、咳が止まるまでに少しお時間がかかってしまうかもしれませんが。」
「ありがとうございます。ブラックホールに落ちるよりは、ずっと良かったのではないかと思います。」
「ほーら見ろ。あんな危ない薬使うより、ずっといいよ。飲んでもしばらくは変わらないのは、確かにきついかもしれないけどさ、そういう時は僕らもいるわ。ちょっと、我慢してくれ。」
杉三がまた揚げ足を取ると、赤城は、うらやましいなという顔付をした。きっとその顔に、窓際に置かれて寂しいということを表現したのかもしれなかった。
「すみません。もう、散々失礼なことを言って、、、。」
ブッチャーは申し訳なさそうに言ったが、
「いいえ、いいんじゃないですか。ある意味それだけ心配してくれるんだから、そうしてくれるんですよ。よかったじゃないですか。」
と、赤城は水穂のほうを見たが、水穂はこの肝心な時に、薬が回って眠ってしまったのであった。
「お前も、深刻だな。じゃあ、俺のプレゼントは、無意味だったかな、、、。」
華岡がこのありさまを見てため息をつく。
「なんだ、なんか持ってきたのかい。どうせ、ろくなもんじゃないだろ。」
「今回は、そうかもしれないな。荷車とストレッチャー、あとリヤカーにヒントを得て、こいつが、寝たまま散歩にでもでてくれるように、オリジナルで、車のついた台を作ってみたんだ。事件が解決する合間を縫って、木工教室に通ってさ。ほら、絵本子猫のピッチにあったようなああいう感じのやつ。今、玄関先に置いてある。でも、このありさまだと、お散歩なんてできそうもない。まあ、持って帰るか。」
「馬鹿だなあ。お前がそんなほのぼのした本読むなんて、初耳だ。だから、警視まで昇格できても、捜査が下手といわれるわけだ!」
杉三は馬鹿笑いをしたが、ブッチャーは、何か別のものを感じた。
「いいえ、必ず使えるようにしますから、そのまま置いて行ってください。俺も、ストレッチャーに、水穂さんを乗せるのは、年寄みたいでいやだったんです。」
「いいですね。そうして、お優しい心を持った仲間がたくさんいて、、、。」
赤城は、寂しそうにため息をついた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます