あ? 俺のスキルは触手だけど文句あんのか、こんちくしょう

月見うどん

第0話

「これは次元震だな。また新たな犠牲者が生みだされたようだ」


 大地と同化し永き時を経た大亀は、この大地内で起こる微細な振動をも感知する。

 それがプレートの移動が齎す単なる地震なのか、魔力の作用による人為的な空間振動なのかの判断までもが可能となっていた。


「粗方ぶっ壊したはずなのだけど、どこに残っていたのかしらね」


 太古から生き続ける一体の半人半蛇の女は大亀に疑問を呈す。


「震源は中央、首都のあった辺り。しかし今や、他大陸からの入植者が住処を築いておる、我らでは手が出せん」


「出来るだけ無関係な命を奪いたくはないわね、今更だけど。とりあえず、私はカトレアちゃんに伝えに行くわ」




 この大陸で栄華を極めたはずの人類、その悉くを滅ぼした魔物たち。

 多くの命を散らせたその戦いの末に、撃ち漏らしがあったことを彼らは憂う。


 新たに現れた犠牲者と共に、彼らの運命が再び動き始める。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る