ドキドキして

第1話

ドキドキしながら

あなたを待つ

ちょっと人が多いけど

大きな目印があるここで

着いたのは10時前

今は10時20分

あなたを待つこの時間が

ドキドキしてちょっと切ない

お休みに

疲れてないかなとか

前髪

帽子に押されて

ぺちゃんこじゃないかなとか

10時25分

後10分したらLINEしようかな

でもその前に

『おはよー』のスタンプを

「ぽん」

あれ？

後頭部に衝撃が

振りかえると「はぁー」ってため息と

困った顔のあなた

えーっと

おはよう？

「何時に来たの」

えーっと

えーっと

10時頃かな？

腕組みしてもうひとつため息

「言ったよね、待ち合わせは11時って」

はい。

「いつも早く来るから、何時ごろに来るのか聞いたよね」

はい。

「10時半って言うから早めに来たのに、何でもう待ってるの」

えーっと

えーっと

「あー、ほら行くよ」

突然手を繋がれて、コーヒーショップを目指す

「もう、こんなに手を冷たくして」

前を行くあなたは怒ってるのに

によによが止まらない

「今度から待ち合わせはお店の中ね。これからどんどん寒くなるから」

はい。

えーっと、早く来てごめんなさい

でもね、でもね、

昨日あんまり眠れなかったの

あなたに会えると思ったら

ドキドキして