学園小説私考

如水軒 / 一姫 二太郎

序論 違和感と無知と

 学園ものと呼ばれる領域に属する小説を読んだことは幾度かあるが、そこで頻出する設定に違和感を覚えたことがある。

 世の人がこれを現実感のある物語として捉えているのか、現実味なき創作として捉えているのかは読んだ人ひとりひとりを捕まえて訊かないことには分かるまい。が、そも多くの人は学校生活を各段階一度ずつしか経験すまいから、おそらくほとんどの人はそのそれぞれの経験に基づいて現実的か否かを判断できないのではないかと思う。

 つまりは千差万別の学園生活のなかで、各自の経験できるものはほとんど一通りずつ。その事実に由来する無知ゆえに見知らぬ設定に違和感を覚えたり、見知った設定に共感を覚えたりするのではなかろうか。

 そこで私のごとく学園小説に違和感を覚えている人たちにひとつのサンプルを提供し、以て違和感解消の一助とならんことを欲し、また幸運にも世の人の経験を何らかの形で受け取り、私自身の違和感解消を成さば僥倖と期待し、粗稿を投ずる次第だ。

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