魔法少女リペアちゃん
@wizard-T
魔法少女リペアちゃん
私は柴田勝美……ってのは仮の名前。本当の名前はリペア・ジュエルド・レイラ。遠い遠いリターン星からやって来たお姫様!私はこの力で、壊れた物を直す事ができるの。
あっ、何かが壊れた音がした。何あのお兄ちゃん、手を口に当ててぶるぶる震えてる。そしてその側には割れたガラスの窓。そう言えばさっきガチャンって音がしたけど……。よし、こういう時は!
リリンパ・ペアルン・アーティファクト、元通りになーれ!
ねっ、あっと言う間に元通りのきれいなガラス窓。すごいでしょ? ああ、今日もいい事したしおうちに帰ろうかなーっと……あれ、女の人があの家から出てきた。なんか顔は真っ赤、そんで右手には野球のボール持ってる。何があったんだろ、ちょっと面白そうだから見てよっと。
「ちょっとその左手にはめてるのは何!」
うわ怖っ、何あのどなり声。ほら、道端歩いてた人たちも何事が起きたんだよと立ち止まって一斉にそっちの方向を見出したよ。
「すみません、すみません…」
あっあのお兄ちゃんが女の人にペコペコしてる、どうしちゃったの一体?
「窓ガラス代弁償なさい!」
……何あの人、変な人。あのお兄ちゃんがなんでそんな事しなきゃいけないの? ほら、周りの人も何だそれって顔してるよ。
「ちょっとあんた、何言ってるんだ?」
「何って何ですか! この子が窓ガラスを割ったから叱ってるんでしょ!そしてそういう時にはちゃんと責任を取らせるのが」
「……どこの?」
「ここの!」
おかしいなあ。さっき私が直したのになあ? もしかして失敗しちゃったの? うーん、ちゃんと直ってるんだけどなあ。
「ここの……ここの……ここ………………」
あれ? その女の人突然寝ちゃった。どうして? 昼間から寝ちゃうなんて体に悪いよ。よっぽど疲れてたのかな? ま、いっか。すぐ目が覚めたみたいだから。ってどうしたの? 急に私なんかに抱きついて来て。
「ねえねえ聞いたでしょ見たでしょそうだったでしょ! 確かにガラスが割れた音したでしょ! 私だけ悪い夢を見てたって言うの!? ねえあなた、教えて、教えてよ!」
ええっと……割れてないんじゃないかな。ほらこの通り。
「うわああああん! 私頭がおかしくなっちゃったんだわ! このーっ!」
突然女の人は右手を振りかざしてガラスを殴ったけど、ガラスはまったく無事。当たり前だよね、私の魔法で新品同然に直したんだから。割りたいならもっと体をきたえないとダメだよ。
「これは悪夢よ、悪夢よーっ!!」
そう叫びながら、その女の人は走り出して行っちゃった。どうしてなんだろう。壊れている方が直っているよりいいのかな。あれ、何かいろんな人が泣きながら走っているその女の人を追いかけてる。地球の人って、やっぱり変だなあ。だって、ああいうまともな事をしてないような人の方がいいらしいから。お母さん、私はこの星の人たちに付いて行く自信がちょっとなくなりました。
魔法少女リペアちゃん @wizard-T
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