第八段

むかし、男がいた。

みやこに住みづらくなったのだろうか、東の方面に出向いてすみかを求めるといって、友とする人をひとり、ふたり伴って出かけた。

信濃の国、浅間嶽に煙が立っているのを見て歌う。


浅間の山から煙が立つ

どうしてそんなに

ひとびとが、おやまあと声を潜めている

火のないところに煙を立てた

わたしのようではないかと

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