第1話
最後の人類を乗せたロケットが、宇宙に向けて尾を引きながら飛んで行った。新たな土地で、新たな暮らしを始めるため。もう二度とこの惑星に戻ってくることはない。
地球は人口が増えすぎた。そして人類は地球と同様の環境を持つ惑星を見つけた。だからみんな移住した、俺の友達や町の人も例外じゃない。
でも俺は、何もしなかった。同じく地球に残った人も居るが、少なくともこの辺じゃ俺くらいだ。
あれだけ人口が増え、狭かったこの世界は、途方もない程広く感じた。
最初は良かった、人口知能システムにより最低限生きてはいける。衛星通話であっちの世界とも連絡が取れる。
しかし、次第に連絡することは減っていき、何もない世界で生きる中で寂しさだけが体を満たしていった。
だから、旅に出ようと思った。
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