メンヘラが綴る人間考察

浅葱 楓

はじめに

病気の話


これは私が普段考えていることの覚え書きであり、掃き溜めであり、日記である。自分語りしかなく、参考になるものなんて1つも書いてはいないので、ご理解いただきたい。


まずは私がメンヘラたる所以、精神疾患についての話をしようと思う。これ以降書き記す事柄については完全に私の独断と偏見の入り交じったものであることを忘れないでいただきたい。


さて、世間の皆さんがイメージするメンヘラとはどんな人だろう。リストカットやOD(薬の過剰摂取)等の自傷行為をする子?少し連絡を怠っただけで大量の着信、電話に出てみれば「私のこと嫌いになった?もういらないの!?」と泣きながら訴えかけてきたり?果ては「愛してくれないならあなたを殺して私も死ぬ!」なんて。

昨今はアニメにもメンヘラキャラなる女の子が登場していてこんなイメージを持っている人も少なくないのではないだろうか。当時まだ病気を患っていなかった健康な私が「メンヘラ」と聞いて思い浮かべるのはまさしくこんな、関わるとヤバそうな女の子だった。


しかし、この行き過ぎたように思えるイメージ、全くもってその通りなのである。


ほんの数十分連絡が返ってこないだけで、大体いつもこの時間は家でごろごろしてるはずなのになんで返信来ないの何してるの誰かと一緒なの私に内緒で何してるのよー!!と、勝手な妄想が止まらなくなり気付けば腕から血が流れている、なんてのは日常茶飯事である。


ではなぜ私はこうなってしまったのか。

私の場合、根本的な原因は親との関係にあった。


私の両親はいたって普通で、俗に言う「毒親」などではない。暴力やネグレクト(放棄)等の虐待は一切受けていない。ただ、私は「良い子ちゃん」だった。小さい時から黙って1人でおもちゃ遊びをするような大人しい子で、小学校に入ってから勉強もそれなりに出来たし、私が7歳の時に生まれた年の離れた弟の面倒も見る良いお姉ちゃんであり、手のかからない良い娘だった。両親からの期待は私が成長する程高くなっていき、私は毎回必死に応えた。

こうしているうちに私の中で、相手が望むものを与えることが出来て初めて愛されるのだ、という考えができあがった。親に対しての安心感は無く、常に期待というハードルを越えなければならないという緊張した状態だった。


恋人は、そんな私をありのままで受け入れてくれる神様みたいな存在だった。

以前何かのテレビで見たのだが、どうも親との関係が上手くいかなかった人達は恋人に対して甘えたがりが多いのだそうだ。親子関係での飢えを、恋人に満たしてもらいたいのだとか。自覚はなかったが、私も例に漏れず相当の甘えたがりらしい。

しかし、親の期待に応えることしかしてこなかった私は、本来培われるはずだった自己肯定感や自尊心なんてものは持ち合わせていないのである。だからふとした本当に小さな出来事で、神様に見捨てられてしまう!という不安に襲われ、冷静に考えることが出来なくなり「私のこともういらないの?」などと聞いてしまうのだ。後から考えれば何故あんな小さいことに・・・なんて思うこともよくある。一時的な混乱のせいで迷惑をかけたことへの罪悪感と自己嫌悪感から、まぢ病みリスカしよ・・・という永久病みループが完成する。


私が心療内科に通うようになったのは、こういった自身でコントロールできない情緒に悩まされていたことと、主に仕事でのストレスがきっかけだ。仕事についてはまたの機会に書きたいと思うが、1つ言えるのはブラック企業は本当にあかん、ということだ。


最初に心療内科で貰った診断は、うつ病だった。主に職場でのストレスを原因に話していたからだろう。仕事を辞めてからはかなり良くなったが、こちらもまだ完治はしていない。

長く通うようになり、境界性パーソナリティ障害とパニック障害と診断された。境界性パーソナリティ障害は、通称ボーダーなどと呼ばれ、2ちゃんねるで「俺の彼女がボダで殺されかけた」などのスレで様々な掲示板を賑わせてきたメンヘラの代名詞である。


境界性パーソナリティ障害の主な症状は以下の通り。

・現実または妄想で、人に見捨てられることを強く恐れ、不安を抱いている

・気分や感情がめまぐるしく変わり、周囲の人がついてこられない

・感情のブレーキが効かず、ちょっとしたことで癇癪を起こしたり、激しく怒り、傷つきやすい

・自殺のそぶりや自傷行為を繰り返し、周囲に動揺を与える

・自己を損なう行為(薬物、アルコール、セックス、過食等)に依存しやすくなる

(引用:http://1mental-clinic.com/border/)


うん、これは私のことだ、ととても納得したのを覚えている。

境界性パーソナリティ障害も含む人格障害というのは厄介で、「誰もが様々な性格を持っている中で一部分が極端に偏ったようになり、社会生活を送る上で自分も他人も苦しませてしまう人」=人格障害、なのである。(引用元は上記と同様)

つまり、「かなりキツめの個性だね!」ということだ。

現状、人格障害のみで他の精神病を患っていない場合の障害者手帳取得はかなり厳しいようだ。


かなり長くなってしまったが、これが私が「メンヘラ」に仲間入りした経緯だ。どれくらい続くのかはわからないが、これから私がここに記すのは、「メンヘラ」と呼ばれる「生きづらい人」が見る世界の話だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る