首都警察特定犯罪選任捜査課

飛騨牛・牛・牛太郎

第0話 ゴブリン虐殺事件

ゴブリンA(巡査)「オマエヲ第一級殺人の容疑でタイホスル。オマエには黙秘権がアル。オマエの発言は法廷でフリな証拠として使われる可能性がアル。オマエは弁護士を付ける権利がアり、もし経済的理由でつけられない場合は公選弁護人をツケル権利がアル」

ゴブリンB(巡査)「抵抗をスルナ。シタ場合もっとヒドイ目にアルゾ。シテ貰った方が俺たちはマンゾクできるガナ糞アマ」

ゴブリンC(巡査長)「容疑者を確保しました」

女騎士「え」



オーク刑事「お前、何やったかわかってるのか?」

女騎士「と、取引を」

キマイラ刑事「店頭で商人ゴブリンを数名殺して商品を奪う。強盗殺人だな。証拠もそろってる。証人もいる。取引する余地はない」

オーク刑事「おまえが殺したゴブリンの店の店長は子供5人に妻を1人男で一人で養ってる勤勉なゴブリンなんだぞ。それを高々金品目的に殺すなんて。おまえ自分自身が何をやったか自覚あるのか」

女騎士「|д゚)」

サキュバス弁護士「(ーー )Ξ( ーー) 」



吸血鬼検事「容疑者は勤勉に働くゴブリン達を一刀の元で切り伏せ金品を奪うという極悪非道にもほどがある犯罪行為をした。証拠もある。取引する余地はない」

サキュバス弁護士「しかし騎士は人間社会の常識で。もし刑務所に入れられたらすぐに殺されて」

吸血鬼検事「そのような弁護で陪審員の同情を買えると思うのか。ゴブリン氏は地域の社会活動にもよく参加しゴブリン社会のみならず地域の住人から愛されている人物だったのだぞ。」


サキュバス弁護士「(ーー )Ξ( ーー) 」

女騎士「ちょっと!!なにか」

サキュバス弁護士「黙ってろ馬鹿!!」

女騎士「あ、はい」




サキュバス弁護士「我が国の裁判費用を軽減する。という最後の善意をもって独房での無期懲役の取引を申し入れたい」

女騎士「え、それは」

サキュバス弁護士「黙ってろ。被疑者が刑務所で死ぬなどといったことが起これば国としての損失も大きいでしょう」

吸血鬼検事「ふん。仮釈放なし。無期懲役。いやなら裁判所で陪審員が死刑を言い渡さないことを期待することだな」

サキュバス弁護士「ふん。同意しなさい」

女騎士「何」


サキュバス弁護士「あなたね。現行犯でその場で射殺されなかっただけありがたいと思うしかない立場だってわかってるの!?一般房での無期懲役や死刑がいいんだったら私は弁護人を降りるわ!留置場の中で殺されないことを祈りながら一人で勝ち目がない裁判を5年でも10年でもやってなさい」

女騎士「」

吸血鬼判事「どうする?同意しなくてもこちらとしては構わないが」

サキュバス弁護士「さぁ」

女騎士「」



多種多様な魔族と怪物の文明が交じり合い形をなすこの連合国。

その弊害は様々な形で現れたがその一つが「統一した司法制度の確立ができない」ということである。

現魔王はその現状を嘆き議会の反対勢力を押し切り2つの法案を完成させた。

まず一つが諸民族、魔族、怪物がみなで垣根を超え協力して戦うべき重大犯罪、つまり殺人、強盗、窃盗、偽造、強姦、誘拐等を統一的な基準で規制し裁判を行う

「連邦法の設立」

そして

「連邦法にて取り締まりを行う司法機関の設立を各地に義務付ける」

ことの二つである。

この物語は連合王国の中でも文化、宗教、政治が絡み合う首都において発生する犯罪の中でも特に重要事件と判断された事件に立ち向かう為に魔王の勅令によって設立された

「特定犯罪選任捜査課」

の物語である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る