第15話 憮然とする

 これもまた、更新を楽しみとしてるカクヨム作品で見かけたものです。

 というか、「誤用あるある」熟語の筆頭かも。

 大抵の場合、これは「怒りを抑えて黙り込む」という意味で使われてます。

 しかし、「憮」という漢字は分解すると「心+無」。意味は「がっかりする。失望する。また、驚きあきれる」となります。

 つまり、どこにも「怒り」と言う意味はありません。なので、「憮然」の本来の意味は「失望して、または驚いて、ぼんやりしてしまった様子」となります。

 が、最近は明らかに「腹を立てている様子」という意味で使われてます。

https://www.bunka.go.jp/pr/publish/bunkachou_geppou/2011_08/series_08/series_08.html

 こちらによると、「憮」の発音「ブ」から、「ブツブツ不満を言う」とか「ブスッとする」「ブウブウ抗議する」などを連想させるのが、誤用が広まった原因としてます。

 私の想像ですが、「侮辱の侮」と似てるのも大きいと思いますね。


 そんなわけで「憮然として怒りをあらわにした」なんて文章を見かけるたびに、私は「憮然として」しまうのでした。

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