その後のいざこざ
ルーカスがお菓子を用意していないと分かったマーシェルは、再びファットをまたどこかへ落とそうと彼にガツガツと近づいてきた。
「やめろ......やめろって!!おい、ルーカス?なんかしたのか?!」
噴火したように顔を真っ赤にさせて迫り来るマーシェルを抑えようと必死に彼が慰めるが、そんなことでは騙せない。
食べ物の恨みってこんなにも怖い。
ルーカスは、それを見るままで何も行動できずにいた。少し引くようにもして......。
「今から宇宙ゴミの研究してくるわ...」
自分のその中に入ってきて実際に体験でもするのか......。彼は、ほぼ諦めた様子で宇宙ゴミになれという要求を受け入れた。
「刃物とか持ってないよな??せめて宇宙服着させてね......」
寸劇でも見せられているのか、ファットもまさかこんなことになるとは思ってもいないだろう。
あるものを探すルーカスを放っておいて、押されるがままロビーへ行く階段を下りる。
マーシェルも、ここまでくると自分でなにをしているのか分からなくなっており、頭の上にはてなが飛んでいる状態だ。ただ意味もなく押していく。
ドアについた二人は、マーシェルを筆頭にして宇宙服と開閉の許可を出す。するとAIが毎度おなじみの声を出す
「はい、こちらはドアです」
「そんなこと分かってるわ。このままドアを開けてちょうだい!!」
「ピッピー......ダメです」
「は?」
そう。この宇宙船は高いセキュリティーと安全性があるため、着地もしていなく場所が悪い状態でドアを開けようとするとブザー音とともに「ダメです」とアナウンスされる。
「どうやら場所が悪いわけですな、めでたしめでたし」
彼は、無限に広がる宇宙空間へ放り出されなかったのをいいことに嫌味たらしく独り言をした。
また上のリビングへ戻ろうとすると、ルーカスの大きい声がする。
「あっ!アイスが冷蔵庫にあったわよ」
だいぶ焦っている感じで、その声は届いていた。
「お?よっしゃあああああああ」
コンコンコン......勢いよく金属でできた階段を駆け上がり、あっという間にファットからは彼女の姿が見えなくなった。
その後に続くようにして、彼ものっそりとその重い階段を歩いた。
「あっ。エレベーター乗ればよかったな」
ぜふぜふと吐息と、ため息も同時についた。
――――――――――――――――――――
彼が宇宙ゴミになる機会を逃したので、これからも普段通り三人での旅になりそうです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます