衛星探索Ⅳ~土産~
虹色に光る大きな羽と目を持つ鳥。
その正体は謎に包まれていて迷子になっているようにも見える。
そしてマーシェルは伝わるはずもないのに皮肉を混ぜた声をかける。
「なぜこんな所にいるの?それにしても目が大きいね......」
鳥はじっと彼女を見つめる......。
「ん?どうしたの?何かついてる?」
彼女はじっと見つめた七色の鳥に返事を変えす。
しかし鳥はじっとずっと、彼女を見つめている。
まるで、機械が中に入っているように。
「○%×$☆♭#▲!※」
ついに鳥が声を大にしてなにかを話した。だが何を言っているのかわからない。
あまりの訳の分からなさと歩き疲れたからかファットはひらめいたようにして話した。
「あっ!これいいじゃないか......良い............よし今夜のご飯は豚汁だな!!」
「頭おかしいんじゃないの?」
咄嗟のマーシェルによるツッコミ炸裂。
いつもはボケがマーシェルでツッコミが他2人と言ったところだが、互いの立場が逆転している。
「そうよ、ファットさん。あの鳥を茹でるとスープがカラフルになってしまうわ」
「違うそうじゃない」
ルーカスも彼と同じように、ヘトヘトになってしまい勝手にボケへまわっていた。
だがそれも無理はない。この場所は宇宙船から10km近く離れているのだから。
何時間も歩いてやっとついたところだ。こんなことしていたら日も沈んでしまう。 しかし、そんなことはどうでもいい程貴重な発見をしたとマーシェルは確実に感じている。だから2人のボケにツッコミを入れたのだろう。
とりあえず、二人はだいぶ疲れていたのでマーシェルに勧められてゆっくりと腰を下ろし、鳥の前に座った。
七色鳥は目をパチパチ開いたり閉じたりしながらもさらに、羽を上下にパサパサ動かした。
特に人間を怖がる様子もなくて、じっとしていると可愛さだってある。
そしてこれがもし機械じゃなければ、地球以外にも生物がいたこととなる。
いま地球のET(アーススペーステクノロジー)と繋がり、この鳥を撮影出来たのなら三人は一気に有名人である。そんなこともマーシェルは......考えてたのかもしれない。
二人はだんだんと息も落ち着いて、目の前にある鳥の様子を受け入れようとした。
静かな場所で透き通るファットの声。
「......で、この鳥はどうしようか」
冷静になると彼の声はここまでどっしりと来るのか。ミステリアスな雰囲気になる。
しかしその雰囲気をぶち壊すように
「私はこの鳥を持って帰って、地球外生命体の存在を明らかにさせたい!」
本当にそう思っているのだろうか、もしや何か陰謀があるのではと考えるほど素直で大きい声をマーシェルは出した
「○%×$☆♭#▲!※」
鳥がまた何か言っているが、彼らは分からないからと言ってその言葉、七色鳥さんを無視した。
しょうがない。ここには某アニメに出てくる「ほんやくこんにゃく」なんてないのだから......。
「けど、さすがにその鳥を地球に持って帰るのは可哀想じゃあない?地球へ持って帰ったら何されるかわからないのに......」
そっと包み込むように喋るルーカスはマーシェルの意見に反対のようだ。
ついに二人はその場で討論を始めた。じわじわと日が沈むまでのリミットが迫ってくる。
らちが明かないと、ファットは収穫物を宇宙船へ送るボタンを押してしまった。
このボタンを押すと対象物を宇宙船に送ってくれる。範囲は決まっているが、ギリギリここは可能範囲だった。
「おれは鳥のスープ作りたいから、宇宙船に送っておいたぞ」
本当にボケているかのように彼は2人に話しかけた。
「送ったの?!まあ多数決で負けたようなものだし、好きにしなさい......」
「いやいや、鳥のスープなんか作らないよ......。ルーカスも大事なとこツッコミ忘れているよ......」
マーシェルが少し引いたような声でツッコミ第二弾をした。
こんなこともあり、七色に輝く謎の生物は宇宙船に送られることとなった。
3人はそのとき始めてきっちりとしている収穫をした。
太陽も徐々に身を潜め一旦枯れ始める頃。3人は地球の方向へ、こつこつまた歩き始めた。それはなにか新しいものを探すために。
そして彼らもまたその鳥と同じように、跡をつける。
きっちりと太陽が包む間までは休めることなく。
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