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三栗隆文様へ。
前略。なるほど、関東の山なんて登ったことがないので、楽しみです。それに、遠出するなら、それだけ長く隆文さんと一緒にいられますもんね。楽しみですっ!
昨日は、冬咲く梅の綻びを見つけました。梅って不思議な木ですよね。家の近所にも植えてあるのに、どんな木よりも早く花を咲かせて、それも香りも強くて、すぐ春の訪れを人に気づかせてくれるのですから。
寒くてさみしい冬が、あの梅の香りを醸成したのかと思うと、あの凛とした静かな世界が、実はとても優しいものに思えてしまいます。
未言屋店主さんは、どうしてこんなに、物事の幸せなところ、優しく、美しいところを見つけて、たった一言の言葉だけで伝えられてしまうのでしょうか。
冬咲く未言巫女は、白梅の晴れ着を着たお澄ましさんで、わたしが笑いかけると、梅の花をさらに一輪咲かせてくれました。
ちょっと気高いお姉さん気質なのかもしれません。また絵を同封したので、どうか見てみてください。美人ですよね。
かしこ
丹堂妙乃
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