第37話 出戻りだが新人のハズなのですが・・・

白馬に戻った私は、春さんの家で、ぬくぬくと暮らしていた。

春さんは、すでに私の心の母であり、大好きな友人でもあったし

保護者で上司で・・・とにかく私は、

仕事に付随した春さんの仕事の手伝いと、自分の仕事はしていたものの

堕落しきってダラダラと生活していた。


そんな明け方の4時、携帯が鳴った。

メンドウなので放置していたら、恐ろしほど鳴り続けた。

仕方なく携帯に出ると

『春が大変や・・・』と。


当時、春さんは、所謂、二股をかけており、

1人は独身の『かずくん』、もう1人は妻帯者の『岡田君』だった。

どちらかといえば妻帯者の『岡田君』の方が本命で、

春さんの家にもよく遊びに来ていた。

電話の主は、岡田君だった。


夜中にドライブしている所に口論になり

酔っぱらっていた春さんが、猛スピードの車から飛び降りたらしい。

命の危険はないが、ヒドイ怪我をおったので、2~3日入院する、と。

これから着替えなどを取りに来ること。

支度を手伝ってほしい事。

しばらくは仕事復帰は難しい事。

そんな話だったと思う。


免許がなく、移動手段のない私は、春さんの事は岡田君に任せる事にした。

『妻は大丈夫なの?』と一応聞いたが、

『どうにかするしかないだろう』と。

実際、この頃にはすでに、岡田君はほとんど家に帰っていなかった。

仕事が忙しかったせいもあるが、休みはほぼ春さんと過ごしていたからだ。

妻は『黙認』している状態だった。


ノンビリ過ごしていたハズの、

出戻り新人の私は、そこから大忙しとなったのだった。

今まで春さんがしていた、店の仕入れ・オバァの買い出し、

ペンションの光熱費や、借金マスターの借金返済から

女の子の給料、店の売り上げの管理・・・。


免許がなく、移動手段のない私は、まず『足』の確保から始める事にした。



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