第29話 私も簡単には変わらない?

2年の結婚生活で、高橋君は何も変わらなかった。

仕事をしては辞め、殴る蹴る。

ギャンブルに借金。

ただ、女関係はクリーンだったと思う。

実際、私は女関係には興味はなかったので知らないだけかもしれない。

高橋君はブラックリストに載っていたので

借金の名義は、すべて私だった。


母との関係が修復に向かっていると思っていたが

母が、私に友好的に接してくれていたのは

結局、姉が留学している間だけだった。

人は、そう簡単には変わらないようにできているらしい。


私はというと、何もかもに疲れていた。

この2年で変わったことと言えば

殴る蹴るから逃れるために、自分の意見を控えめにするようになっただけだ。

控えめになっただけなので、短気な私は、すぐに口に出してしまうのだが。

この頃の私が、1番控えめな感じだったと思うが

思い返してみると、喧嘩が減った訳でもなかった。

他人との衝突も相変わらずだったので、ただ気弱な気分だっただけなのだろう。


母に無下にされたので、困っていた。

その時に、思い出したのだ。

私は早速手配を済ませ、高橋君がいない隙に

離婚届と置手紙を残して

商売道具を持ち出し、逃げたのだ。


忍ちゃんの言っていた『リゾートバイト』なるものに

旅立ったのだ。

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