最初で最後の告白 3
カウントダウン。視覚で認識するたぐいのものとは異なる、未知の知覚により示される数字とインジケーターが、刻々と、目減りしてゆく。停止できる長さには制限があるらしい。しかもあまり余裕はない。
時間停止を解いてすぐに彼女をさせるか?
いいや、だめだ。すでに彼女の体には相当な運動エネルギーがかかっている。ここに現れた瞬間、床に叩きつけられてしまう。
なら海や川の上は?
それもだめだ。もう数十メートルは落下している。人間が安全に水へ飛び込める高さは十メートルかそこらだとなにかで読んだ。
生じたエネルギー自体を消失させてしまえば?
名案に思えたが、システムによりノーを突きつけられる。カウントダウンと同様、脳内に無情なインフォメーションが示された。
質量・エネルギー、それらの保存法則は、管理し処理する都合上、
ならもういっそログアウトして彼女をコクーンから引きずり出すか?
なにを言ってるんだ、初歩的な禁忌じゃないか。コクーン使用中のきわめてデリケートな状態で機器の制御を遮断するなんて、ショック状態に陥りどんな重大な結果をまねくかしれたものじゃない。
それに、行使した僕がコクーンの夢から退出したとたん、時間停止が解除されるおそれだってある。
くっ、どうすれば。もう時間が。
そのときふと、恐ろしい考えが浮かんでしまった。
――ソフィア先生と彼女を入れ替えてしまったら?
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