最初で最後の告白 4

 つまりこういうことだ。マリーに与えられている空間座標だけでなく、生じている運動エネルギーや体勢などを含む全物理的情報を、先生のそれとそっくりすり替える――果たしてそんなことが可能なのか。

 僕は、緊張をもって世界システムに問う。この悪魔のような企ては実行可能か否か。


 コクーンの夢からの回答は――「可能」


 ここに来て何度目かわからない空唾を飲み込む。


 実行すれば、彼女は、横たわる先生と完全に交換され、加わったエネルギーの衝撃を免れる。代わりにソフィア先生は――


 ためらうな。先生は今、敵対者だ。マリーを人質に取り、冷酷に命を奪おうとした。

 敵を倒し、彼女を救う。

 しかけられた攻撃をそのままお返ししてや――


 ぱんっ。


 乾いた音と同時に頬に痛みが走った。耳が、キンと鳴る。

 ――僕は思わず自分の横っつらを張っていた。

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