コクーン禁止令 11
夕食後にまた電話した。今回もマリーが出た。僕がかけてくるのを待っていたと言う。照れくさくてしかたない。
夕食まで自習してて夜もやるつもりだ、と話すと彼女は驚いていた。
「えーっ。私、夕方はミリーと遊んだり本を読んだりしてたよ。無理しすぎよ」
「普通にやってたんじゃ全然足りないよ。起きている時間は全部あてたいぐらいだ」
「体壊しちゃうよ」
「ちゃんと運動もしてるし大丈夫だよ。そっちに行くためなんだ。頑張るさ」
「その気持ちはすごくうれしいけど、ほんと無理はしないでね。夜はきちんと寝るのよ」
「まるで母さんみたいだな。わかった。君に心配をかけない範囲でやるよ」
約束どおり、夜の自習はそこそこにしておき、トレーニングルームで汗を流した。運動による刺激は学習効果を高める。これも母さんに教えられたことだ。
就寝時間も今までどおりに守り早寝早起きに努めた。いや、早起きはどうしても苦手でできなかったんだけど。
始めは違和感のあった生活も数日で慣れた。
コクーンの代わりにタブレットを操作する。デバイスはまるで違うけど、勉強の内容は同じだった。
ご丁寧に、母さんの提案で、体育の時間としてランニングマシンで走ることもあった。これはグミが喜んだ。座って勉強するよりよっぽど楽しいらしい。
昼下りにはおやつとお茶が出た。勉強の合間にとるのは新鮮だった。これもグミを喜ばせた。
夕方以降は、グミは遊びに熱中し、僕は勉学にいそしんだ。
毎晩、僕たち兄弟が向こうの船の姉妹と話すのも日課になっていた。
友達に会ったり外の空気を吸ったりできないのはもどかしかったけれど、僕たちは新しい生活に順応していった。
しかし、このときはまだ、誰も知らなかったのだ。
まもなく船団内に、経験したことのない軋轢が生まれることを。
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