ミイラ

 棺から蘇った王は厳かに言った。


「我の眠りを覚ます不届き者は誰だ。我はその者を呪う」


 呪われては困る学者は、あらかじめ用意したおいた言い逃れを答えた。


「ドローンという道具で開けたので、誰と言われても特定できかねます」


「それは、誰の物だ?」


 学者は誤魔化した。


「私の所有物と言うことはできますが、それは正確ではありません。先人たちの長い研究の成果、開発の努力の賜物ですから。つまり、言うなれば人類の叡智の結晶です」


「その言葉、嘘偽りはないな?」


「もちろんですとも」


「わかった」



 そして、人類全体が呪われた。

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