真紅の月

 占い師の老婆は、寝室の窓から覗く夜空を見て言った。


「大変じゃあ! 月が……、月が真っ赤に染まっておる……! 言い伝えの通りじゃあ! 世界の破滅の予兆じゃあ! すぐに、皆に伝えるのじゃ!」


「……わかりました」


 側近の一番弟子は険しい顔で老婆の部屋から出ると、広間に他の弟子たちを集めて声を荒げた。


「おい、誰だ! お師匠様の眼鏡に赤いセロファン貼った奴は!」

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