出会ってしまった神の使いと第四皇女

 ここは、深夜の

 その一室にいるのは、アルマ帝国が第四皇女、ララ・アルマ・バーンスタインである。


「むっ」


 何やら気配を感じたララは、ベッドから飛び起きる。

 そこには、一匹の黒猫がいた。


「何だ、猫か……。いや、待て。お前、ただ者では無いな?」

「ニャーン」


 黒猫は短く鳴くと、高くジャンプする。


「むっ?」


 襲撃かと警戒するララであったが、黒猫はその場でクルリと宙返りする。

 そして何と、


「はじめましてー。キミがララちゃんだねー?」

「ど、どうして私の名前を知っているのだ……? 黒猫よ」

「パトリツィア」

「へ?」

「パトリツィアって、呼んでほしいな。ボクの名前で、フルネームはパトリツィア・アズレイアっていうの」

「あ、ああ……そうか、パトリツィア」


 ララは恐る恐る、パトリツィアの名前を呼ぶ。

 それを聞いたパトリツィアは、上機嫌でララに近づいた。


「やったー、ありがとねー! それじゃあ、お近づきの印にー……チュッ❤」

「んむっ!? んんっ、んんーっ!」


 何とパトリツィアは、ララのに濃厚なディープキスをした。

 加えてがっちりララの体を抱きしめており、力自慢のララでもなかなか抜け出せない。


「ぴちゅ、くちゅ❤」

「んんんっ、んんんーっ!(クソ、何て馬鹿力だ!? しかも、認めたくはないが……キス、うますぎるだろう!)」


 二人が密着し、キスを続ける事30秒。

 十分にララの唇を堪能したパトリツィアは、ララを解放したのであった。


「ぷはぁ、ありがとねーララちゃん。それじゃー、シュランメルトと一緒にー、今後もヨロシクー❤」


 それだけ告げると、パトリツィアはシュランメルトのいる部屋まで一目散に走っていったのである。

 残されたララは、しばし茫然としていた。


「な、何だったんだ、あの乙女は……」


     *


 ところ変わって、地球。

 C県に住む銀縁眼鏡の青年が、一人シャンパンを片手に、ノートパソコンの前で大爆笑していた。


「クフフハハハハハハ……! これでこそ、パトリツィアとララちゃまの邂逅ではないか……!」


 青年はシャンパンをくいっとあおると、グラスを置いて執筆作業に移ったのであった……。

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